ところが先月16日のニューヨーク・タイムズ紙に以下のような記事が掲載され、ネットでちょっとした話題となっている。Googleの人事担当のバイスプレジデントであるLaszlo Bock氏による発言である。
On the hiring side, we found that brainteasers are a complete waste of time. How many golf balls can you fit into an airplane? How many gas stations in Manhattan? A complete waste of time. They don’t predict anything. They serve primarily to make the interviewer feel smart.
( http://www.nytimes.com/2013/06/20/business/in-head-hunting-big-data-may-not-be-such-a-big-deal.html )brain teaserというのは「奇問、難問、クイズ」といった意味である。「奇問は完全に時間の無駄だった」と明言している。テーマを与えコミュニケーション能力を測ることに役立つようにも思えるが、全く無駄だと断言していることは興味深い。どうやら様式美としてのお洒落さをもたらす機能しか有していないようだ。しかし、それよりも注目したいのは、調査の結果により判明した事実をもとに、あっさりと意見を転換している点だ。以前述べたような、「頭の良い人の態度(物事を上手くやる人の態度)」、すなわち、前提とする事実に変化があったり誤りがあった場合に「はばかることなく」意見を改めるという態度の典型といえよう。こういった些細な発言まで気が利いている。
奇問に関するフォロワー企業は、これを受けてはたして方向転換をするだろうか。非常に気になる。もっとも、時間の無駄というのは、「優秀な者を採用する」という物差しをあてた場合に限られ、「お洒落さをもたらす」という点にこだわるならば、継続するのもありかもしれない(手段は目的との関連でのみ評価されるものだ、ということに関しては以前述べた)。そういった企業のエントリーシートには、白紙の中央に「心か」と一言添えるとよさそうだ。
ちなみに、この次のパラグラフで、Behavioral Interviewは効果があると述べている。「今までの人生で困難を解決した経験を教えてください」といったような質問がこれにあたるようだ。極めて典型的な質問である。奇をてらわず直球でいくやり方が最善だったようだ。おそらくこういった質問に対しては、「状況説明⇒問題点の指摘⇒解決方法」という小論文の定石で組み立て、最後に解決方法を自分が実施した結果について述べるとよさそうだ。小論文の定石と言ったが、日常会話のレベルにおいても、基本的には面倒がらず状況説明から始める方が、結局のところ喋るコストは減ることが多い。遠めの道が見えているときの近道は、だいたい遠回りである。相手と共有している「無言の前提」を測る能力は、人生の多くの局面で非常に重要になっているように思える(本稿において「無言の前提」を測り損ねている可能性があるので付言するが、「心か」とはすなわち『BLEACH』である)。
また、さらにその後のパラグラフでGPAに関しても述べている。新卒以外にはGPAの数値は役に立たないので、卒業して2,3年の人以外にはGPAの提出を求めないようにしたそうだ。このほかにも実践的な気の利いたことが色々載っている。気が利いている。
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