LUNA SEAが久しぶりにMステに出ていました。どうしても生で見たいと考え、無理に早く帰宅して見ていましたが、なんと13年ぶりであるとのこと。
13年前といえば、3月に『gravity』、そして5月に『TONIGHT』を発表。そしてアルバム『LUNACYが7月にリリースされます。筆者はこのアルバムが一番すきです。その直後にBRAND NEW CHAOSツアーが開始されます。筆者は高校時代の夏の思い出としてこのツアーの参加が記憶に残っています。素晴らしいライヴでした。そのとき買った赤いストラップはいまでも大切に飾ってあります。その後、シングル『LOVE SONG』を発売するとともに、終幕を発表。年末の東京ドームで終幕しました。それが13年前、2000年の出来事です。
今回のMステ出演は、この年以来のものとなるようです。今の若い世代はLUNA SEAを知らないのではないかと思い、説明させていただきたいと思います。現在25歳以下の方々(以下、主にこの世代の方々を「若い世代」と表記します。)は、終幕前は小学生以下ですので、多くの方々がほとんど記憶にないのではないでしょうか。これは大変にもったいないことです。
要旨を先に述べておきます。ただひとつ、これだけを覚えて帰ってください。Youtube先生のところに行ってください。端的にいうと、「LUNA SEAを見ているときの気持ちは、ももクロを見ているときの気持ちとほぼ同じである」ということをお知らせしておきたいのです。
ももいろクローバーZがまだ「Z」を持たない6人の時代、5人体制となる少し前、初めて「しゃべくり7」に出演しました。その月曜日に私はももクロを知りました。多くの人がそうであるように、これをきっかけに私はYoutubeへと向かい、今に至るわけです。非常にベタなパターンだと思われます。
そして、あるとき気が付きました。ももクロを見ているときのこの熱い気持ち、これは以前どこかで頻繁に味わっていたぞ、と。そうです。それがLUNA SEAです。音楽的喜びが加わるので私にとってはLUNA SEAはももクロの上位互換ですが、核となる気持ちはほとんど同じです。
音楽番組全盛の時代、凄腕の司会者とともに多くの音楽トーク番組があり、LUNA SEAの魅力がお茶の間に浸透することに妨げはありませんでした。しかし、今はそうではありません。そこで、この場で私が説明していきたいと思います。
LUNA SEAのメンバーは5人です。これは、ももクロと同じです。そして、5人全員キャラが立っている。これもももクロと同じです。さらに、5人全員目立っている。驚異的なことに全員が主役です。これもももクロと同じです。そして各メンバーと各メンバーのそれぞれの組み合わせによる相乗効果が楽しめる。これも、ももクロと同じです。この時点でほとんど同じグループといって差し支えないくらいです。
5人もいて、それぞれのキャラが明確に把握されるというのは非常に困難です。5人もいれば、誰かと誰かのキャラがかぶります。そうでなければ、誰かが目立たないです。いずれかになります。キャラがかぶるか、誰かが目立たない。5人もいえばそのいずれかは避けられません。1曲は5分程度です。またテレビ番組のトーク時間についても、15分程度でしょう。割り当てられた時間に対し5人というのは非常に多い人数です。そうであるのに、ももクロ、そしてLUNA SEAは5人全員のキャラが非常に明確に立っています。そして全員がそれぞれのキャラを活かして目立っています。
Twitterで見ました。「ガムを噛んでいるメンバーがいて態度悪い」「ギターソロの人、弾いてないじゃん。わざと弾いてない感じじゃん。なにあれ」と。見ました。ずいぶん出回っていました。これを見て確信しました。あぁ、これはももクロがしゃべくりに初めて出演したときと同じだ、と。
わずかなトーク時間。わずかな演奏時間。そこですでにキャラ立っています。ちなみにINORANさんのかっこよさ、RYUICHIさんの歌の魅力。さらには、ドラムを叩いているときの真矢さんの圧倒的なかっこよさに驚く声も多かったです。気付かれてしまいました。お茶の間の若い世代にLUNA SEAが発見されました。
そして気が付くことでしょう。各メンバーの個性と、それぞれの楽器が出す音や歌の個性が同じであるということ。これほどまでにキャラの立った演奏。そしてその中で5人全員が主役である。本当に驚異的なバンドです。
さらには、キャラが立つことも大切ですが、それよりも大切なことは、各メンバーがきちんとそのキャラ通りブレずに振舞うことです。それによって、安心が生まれます。期待が生まれます。組み合わせの相乗効果が具体的に想像できます。
ももクロは歌とトークでそれを発揮します。大舞台でれにさんは仮装して変な表情を見せてしまいます。あーりんさんの歌声はもはや曲中でうまいフックとして利用されています。トークでは地味だった緑のあの子、ちょっと能力高すぎないか。そして黄色は赤に今日も甘えているぞ。真面目な顔を見せたときの赤の迫力にぞくぞくくるぞ…。そういったそれで、安心と期待をもたらしています。では、LUNA SEAの場合はどうか。
まっっったく同じです。
それぞれのキャラ、個性がブレません。そして、キャラがそのまま音になっています。曲の中でも5人全員が主役です。そして特徴同士が絡み合って奇跡を起こします。驚異的なグループです。
LUNA SEAはメンバーの誰かが原曲を持ち込み、それを全員で完成させます。そして、ここがすごいのですが、誰が原曲を持ってきた曲か、すぐに分かります。なぜなら何度も強調しているように、各メンバーのキャラが立っているからです。このイントロのコードを崩した歪んだギター、これはSUGIZO原曲だなぁ。ははーん、この曲はベースの勢いで導いているからJだろう。調べると、正解です。というか、そのような楽器単位の特徴がなくとも、曲の雰囲気で分かります。各メンバーのソロを見ると、本当にキャラそのものが浮かびあがります。あぁあの曲のあの部分はやはりINORANさんのアイディアだな、と明確に感じとることができます。
この部分はCHAGE AND ASKAにも似ています。不完全な人たちが補い合っているわけではなく、完成されたミュージシャン5人が集まっているのだ、と。最近のアイドルは「未完成を愛せ」という雰囲気がありますが、本当に魅力的なアイドルは「完成度の中のほつれ」を持っているアイドルだと思います。これはライムスターの宇多丸さんがよくラジオで言っていることに近いですが、「完成度の中のほつれ」が重要です。未完成だけど、そこをなんとか愛してくれ、というのはハイコンテクストすぎるコンテンツを生み出してしまいます。お茶の間は戸惑います。私も戸惑います。この人が1位!?、と。たぶんよく知れば魅力も分かるのでしょう。たぶん。おそらく。たぶん。しかし楽しむために知っておくべき文脈が多すぎます、ハイコンテクストすぎます。要求が高すぎます。そうではなく、「完成度の中のほつれ」こそ重要でしょう。(ただ、方針転換があったのか、ユーキャンの資格の子やバカの子はあからさまにかわいいですね。素晴らしいですね。)
ももクロは未完成風ですが、完成されています。よくよく考えると、修正すべき部分は見当たりません。このままの特徴で、年齢を重ねても違和感なく存続することを頑張ってほしいと思わされます。全てのライブが貴重です。若い時代は永遠ではありません。
これはCHAGE AND ASKAもそうです。LUNA SEAもそうです。未完成が補い合っているわけではありません。技術もアイディアも超一流です。完成されたミュージシャンが集まってそれぞれの個性をキャラを最大限に発揮しています。そして、はみ出して見えるほつれ、キャラ。RYUICHIさんの歌唱力、表現力の中にはみでてくるキャラ。先に述べた13年前の『TONIGHT』では、イケメンで技術あるギタリストがEのオクターブの「タタッタタタッタ」っていうフレーズをひたすら繰り返します。これはキャラの表出の極致ですね。しかも曲の初めに裏から入っているのもかっこいいですね。Jさんが持ってきたJさんのキャラそのものであるような楽曲の雰囲気。それにINORANさんというキャラを乗せたらこのようなとんでもなくかっこいい曲が生まれるわけです。これは全ての曲について言えることです。
また、時を経たキャラの変化もきちんと活かされています。今回のMステで演奏された新曲はINORANさんが原曲です。これはちょっとした驚きです。例えば、13年前の『gravity』という曲もINORANさんが原曲です。これ、まったく雰囲気が違いますね。大きなことでいえば、メインギターを変えているんです。ピックアップがシングルコイルからハムバッカーに変わっています。例えば『STORM』という曲のライヴ映像を、昔のものと今の者を見比べてください。音が違います。そして、キャラも変わってきているんです。結構前からですが、INORANさんは笑う時に舌を出すんです。この前のMステでもそうでした。素晴らしい笑顔です。キャラが変わりました。音も変わりました。もう一度言います。キャラが変わりました。そして音も変わりました。はい。そういうことです。
これは、ももクロちゃんたちのソロ活動のヒントにもなるのでは、と勝手に思ったりしています。
以上、LUNA SEAの大ファンであり、ももクロの大ファンである筆者が取り急ぎお届けしました。LUNA SEAは間違いなくもっともっと世間の話題の中心にいるべきバンドです。