2013年8月28日水曜日

トットナム入門2のこと

前回の「トットナム入門のこと」という記事のアクセスが非常に高いので第二弾。

★★★

前回は、中盤のデンベレ、サンドロ、レノン、CFのデフォー、アデバヨール、そしてSBのウォ―カーの紹介をした。

トットナムは今夏大きな補強を行っている。
その一つとして、3000万ユーロでのスペイン代表ソルダードバレンシアからの加入がある。
02年からそのプロとしてのキャリアを開始した彼の初の海外リーグの挑戦だ。

8/27付けの記事によると、ソルダードはアーセナルとの北ロンドンダービーを楽しみにしているそうだ。

プレミアリーグではロンドンを本拠とするチームが多数ある。
トットナムもその一つであるが、他にアーセナル、チェルシー、フルハム、ウェストハムがある。
また、04-05シーズン以来に今季プレミアに昇格したクリスタル・パレスFCもその一つとなる。
ロンドンダービーといえば、チェルシーとアーセナルの試合が華々しく喧伝されるが、北ロンドンの狭い地域に焦点をあて、隣町ということを重視すると、トットナム対アーセナルこそ真のダービーということになる。

トットナムの本拠ホワイトハートレーンと、アーセナルの本拠エミレーツスタジアムの距離は、日本でいうと渋谷-新宿間より若干遠く、渋谷-池袋間より短いといった程度しか離れていない。山手線でいえば10分程度の距離である。
(アーセナルは06年7月からエミレーツスタジアムを使用している。それまでアーセナルが使用していたハイバリースタジアムとは1マイル程度しか離れておらず、移転後も変わらずトットナムとは近隣となっている。)

また、この北ロンドンダービーは距離的な近さのみならず、歴史的にもその重みがある。

サポーター同士のライバル意識も他のロンドンチームのサポーター間よりも強いと言われるが、その因縁は1913年まで遡る。
トットナムは1899年から北ロンドンの地にその本拠を構えていた。一方アーセナルは、テムズ川以南のロンドン南東部ウーリッチ地区に長らく本拠を置いていた。
しかし1910年、アーセナルはその経営が破綻してしまい、ヘンリー・ノリスという人物に買収さることとなる。
その後、彼の経営への積極的な意識の発露の一つとして、1913年に北ロンドンのハイバリースタジアムへの本拠地の移転が決定された。
現在あるどのチームを想像しても実感すると思うが、本拠地の移転というのは非常に大いなる決断である。
その移転先となったハイバリーと、トットナムの本拠ホワイトハートレーンとの距離はたったの4マイル。近隣のライバルが誕生することとなった。
そして…。

…といった事情を現地の人々がどの程度詳細に把握しているかは定かではないが、とにかくこのような歴史があるのだ。

★★★

そんな北ロンドンダービーを今週末に控えるトットナムであるが、実はすでに開幕戦でロンドンダービーを行っている。

それは、第1節のクリスタル・パレス戦だ。

試合結果としては、第1節のクリスタルパレス戦も、第2節のスウォンジーシティ戦もソルダードのPKによる1-0で勝利している。

この2戦においては、以前述べたデンベレのトップ下も実現されている。今年1月に加入したホルトビーも期待したい。シャルケではラウールが去った以降、トップ下でパスを散らし、献身的な運動量を見せていた(しかしフンテラールを上手く活かすことができず、ラウールがフンテラールをブンデス得点王に仕立てたような働きはできなかった。さすがにそれは求めすぎか…)。

また、今夏加入組であるブラジル代表パウリーニョ、ベルギー代表シャドリがそれぞれスタメンで起用されている。

おナjくトゥールーズから今夏加入したばかりのフランス代表MFのカプー(カプエとも表記される)も起用され、2節にはフル出場を果たしている。

このように、トットナムは新たな選手でチームをつくり直している(おそらくベイルも抜けるでしょう)。そんな中、PKによる1点で逃げ切りという形で、開幕2連勝を成していることは非常に良いスタートだといえる。

今週末のアーセナル戦は、今シーズン初の強豪との試合であり、先に述べた北ロンドンダービーでもあることから、非常に注目に値する試合となるだろう。

2013年8月26日月曜日

シャルケ(第3節ハノーファー戦)のこと

シャルケは第3節、中2日アウェイでハノーファーとの試合を迎えました。

ハノーファーはこれまで、第1節は2-0でヴォルフスブルク(最終的にはヴォルフスは9人で戦っていました)に勝利し、前節はアウェイでボルシアMGに3-0で敗れています。

内田篤人は大事をとりハノーファーに同行していません。右SBはホークラントが務めています。
中盤の底は左からジョーンズ、ノイシュテッター。そしてトップ下にゴレツカ。
左SHにドラクスラーが置かれ、酒井宏樹とマッチアップすることになります。
反対のSHはクレメンス。そして1トップにサライという布陣です。

注目は、ファルファンを怪我で欠くことから、SHをどうするか、という点にあったと思います。
中2日なのでスタミナ的な問題でマイヤーを起用するとは思えませんでした。
かといってバルネッタをスタメン起用するのも想像できないところでした。
そうだとすると、ドラクスラーを左SHとしてゴレツカをトップ下でいくことが考えられます。

おそらくこの予想は当たっていたのですが、前半の15分にこのプランは崩れ、元のフォーメーションは把握できませんでした。

前半15分、縦パスに抜け出したセネガル代表ディウフを、ホークラントとヘーヴェデスが追います。
そこで、スライディングしたヘーヴェデスは、足にいってしまい一発レッド。
これによって得たPKで先制されてしまいました。

最悪の展開ですね。

ケラー監督は選手を入れ替えない選択をしました。
前半40分にゴレツカを下げてサンタナをCBとして投入します。
しかし、その少し後、CKをきっかけとした混戦で前半終了間際に追加点を入れられています。
ディウフをつかまえることができず、フリーでヘッドを決められてしまいました。

後半10分にはサライが1点を返します。
右サイド高い位置でのフリースローを受け取ったクレメンスがクロスを上げます。
これをノイシュテッターが胸で前に落とし、これをサライが決めました。

この後、相手の退場もあり、決定機をつくりつつも、追いつくことはできませんでした。

最終的にはフクスまでイエロー2枚で退場していました。
ドラクスラーがなだめているシーンは「おお!」って思わされました。

★★★

◆ドルトムント対ブレーメン 1-0

1-0で連勝中のブレーメンを、ドルトムントはレヴァンドフスキの1点により下しています。
12年ぶりの開幕3連勝だとか。

◆ヘルタ対ハンブルガーSV 1-0

細貝選手がボランチでフル出場し、試合も勝利しています。

◆バイエルン対ニュルンベルク 2-0

守備的にいくという戦術的理由で清武選手はスタメンを外れています。
おそらく真っ向からいけばもっとやられていたと思われます。

ゲッツェ選手の初出場。
また、チアゴ・アルカンタラもさらっとスタメン固定ですねこれは。
と思ったらチアゴは負傷退場してしまいました。

リベリーとロッベンが1点ずつ決めています。
珍しくリベリーがヘッドで決めています。ブンデスでは初のようです。

◆マインツ対ヴォルフスブルク 2-0

岡崎選手は1トップで出場しています。
決定機を外してしまったのが残念でした。
ちょうどドラクスラーの縦パスにクレメンスとサライが抜け出し、最後にサライが外してしまったのと同じような位置からの同じような外し方でした。
しかしマインツ強いですね。

ヴォルフスは後半19分にグスタボがイエロー2枚で退場しています。
後半39分に長谷部選手をやっとピッチ上に見ることができました。
次節はグスタボを欠きまsすが、長谷部が出場できるかは微妙なところといえそう。

3節を終え、全勝チームはドルトムント、レバークーゼン、バイエルン、マインツの4チームだけとなっています。

2013年8月23日金曜日

シャルケ(CLプレーオフPAOK戦)のこと

CLが始まっています。

CLは、まず予選の3回戦があり、この勝者を加えたチームでプレーオフを行います。
このプレーオフの勝者10チームが加わった32チームで、グループステージを戦います。
グループステージは8つのグループに4チームずつが振り分けられ争います。
各グループの1位と2位の16チームが決勝トーナメントへ進みます。
3位チームはELの決勝トーナメントへ割り込みます(ELはCLの下位互換みたいなやつです)。

そして、昨年ブンデス4位のシャルケはプレーオフからの参加となります。
(3位以上のチームはグループステージからの参加となります。)

シャルケのCLプレーオフの対戦相手は当初、ウクライナのメタリストというチームでした。
しかし、メタリストは過去の八百長関与によって、UEFA主催のクラブ大会についての出場資格を剥奪されました。
そこで、シャルケの対戦相手はこのメタリストにCL予備予選3回戦で敗戦したギリシャのPAOKに変更されています。
これが決まったのが14日。
PAOKの監督は昨年12月までシャルケの監督をしていたステフェンス監督です。運命的な再会です。
もっとも、チーム情報的には(スカウティングですね)シャルケが不利になりそうな相手であるといえます。

★★★

そして21日にシャルケのホームでファーストレグが行われました(セカンドレグは27日にPAOKのホームで行われます)。

先の試合で怪我をしたフンテラールに代わり、サライが1トップを務めました。
そして、左SHには17歳のマックス・マイアーが起用されています。

試合開始から、ほとんどシャルケがボールを保持し攻め立てていきます。
内田選手も多くの時間で高い位置をとり、左SBのフクスも高く上がる場面が多くみられました。
パス等の技術的にも明らかに実力に差が感じられます。
しかし、前半に決められた得点は1点にとどまりました。
フクスがドラクスラーに折り返し、シュート。このこぼれ球をサライがファルファンに送り、ファルファンが見事に流し込んだ。
このゴール自体は素晴らしかったです。しかし、この1点にとどまりました。

問題だと思われたのが、相手の数少ないチャンスがいずれも危険な場面となったことです。
前半にPAOKに訪れたチャンスは、非常に少なかったです。
審判に二度ほどパスカットされそうになりましたが、特段の連携ミスなくシャルケが試合を支配していました。
しかし、カウンターやCKのチャンスはどれも決められてもおかしくありませんでした。
とりわけCKの守備はそろそろやばいです。確実に弱点だと認識されています。

また、右を使って攻める場合に、内田篤人が出し所を探して止まってしまう場面がかなり見れました。
ウクライナ戦でも同様の状態で仕方なく下がり目にパスを出してカットされていましたが、この試合でもカットを受けていました。

7月28日のやべっちFCのインタビューで内田選手は、パスの出し所がないときに無理に前にいこうとしてとられてしまうことが多いことを話していました。
そのことを本田選手にも指摘された、と。「無理だったらターンを覚えろ。やりなおせ。」と言われたと話していました。
「そういうのはラ―ムとかがすごい上手いです。見てても、ボールとられそうでとられないし。」
「僕それがまだぜんぜんできないので、これからしっかりやらないと」と語っています。

おそらくこのこともあって前につっかかろうとしていないのだと思いますが、ここでのパスミスが多いのです。
これは受け手の問題なのか出し手である内田選手の問題なのかは分かりませんが、もったいなく感じてしまいます。

ラ―ムは、リズムを崩さずに縦へ速く突破しようとして(あるいは突破するフリをして)相手の陣形を乱して、突然切り返して左後方にパスを出すのが上手いです。
そんなことができたら世界最高峰のSBになってしまいますが、期待したいです。

他方で、最新号のNUMBERで語っていた「自分のところで味方を休ませたい」という意識が実現されたシーンが見られました。
もともとシャルケでは内田選手がボールを受け取って前を向くと周囲が走り出す、というシーンが見られましたが、低い位置でボールをキープしてリズムをつくっているシーンがこの試合では見られました。

ちなみに、長友選手は同じくやべっちFCのインタビューで、現状では自分より上だと思うSBとしてダニエウ・アウべス、アシュリーコール、マルセロの三人を挙げていました。
スピード、運動量、積極的な攻撃参加、といった身体的な特徴により輝くSBですね。
身体能力型のSBと技術やサッカーIQ型のSBがいて、日本代表は非常にバランスが良いです。
これを活かした戦術として、「左でつくり、右でしとめる」というものがザックジャパンでは採用されているのでしょう。

前半のボール保持率はシャルケが70%。余裕のある展開で折り返しました。

後半もボールを保持しつつも攻めあぐねていると、後半28分。やられました。
左サイドから中央に切れ込んだストフがミドルシュートを決めます。
猛然と中央にドリブルし、シュートコースのないまま右隅にミドルシュートをしとめました。
ニアに選手が走り込んでいたのでGKはゴール左隅から動くことができず、中央にもPAOKの選手は詰めていました。
確かに人数は足りていましたが、シュートを選択しそれを仕留めたストフがすごかったというほかありません。

そしてシャルケが猛攻を開始するのですが、結局決まらずアウェイゴールを取られ分けてしまいました。さらにファルファンが怪我で退場しています。

後半24分に17歳のマイアーとの交代で入った22歳のクレメンスは、随所で技術を見せつつも、焦れてかなり遠い距離からのシュートを豪快にふかしてしまうシーンを見せてしまっています。また、同点に追いつかれた後にヘーガーに替え投入されたゴレツカ。イケメンで落ち着いたプレーをしますが、チームの空気を変えるには若すぎるのかもしれません。

ドラクスラー含め、シャルケは若手ドイツ代表のホープが揃っているチームになっているのですけどね。

次は27日にギリシャでセカンドレグがあります。なんとか勝ってほしいところです。

2013年8月18日日曜日

シャルケ(第2節ヴォルフスブルク戦)のこと

第2節が行われた。

シャルケ側の前節との変更点は、まず、CBがマティプではなくフェリペ・サンタナだという点だ。
全節やらかしてしまったマティプは控えに回され、サンタナがスタメンに置かれている。
今季からヘーベデスは昨季と逆の左側のCBで固定のようで、サンタナは右側のCBとしてマティプと入れ替わっている。
そしてボランチはノイシュテッターではなくヘーガーが起用されている。
怪我で代表を見送ったドラクスラーは大丈夫そうだ。

対するヴォルフスブルクは、バイエルンから移籍したグスタボがいきなりスタメン。
そしてトレーシュが右SBに置かれている。
トレーシュは2011年にシュトゥットガルトからヴォルフスに移籍した選手だ。
当時はドイツ代表にも呼ばれており同時期にシャルケも獲得を狙っていた選手である。
彼は基本的にボランチをやりつつ右SBもやるという選手であり、長谷部と非常に似た役割を担う。
グスタボが加わり、トレーシュが序列の上にきていることは、長谷部にとってかなり厳しい状況であろう。
グスタボは左右に動いてビルドアップに加わり、連携も問題なさそうだ。
そして、パワーと技術のあるFKや競り合いの強さをCBナウドが見せてくる。
ジエゴもジエゴ的な動きをみせてくる。

第1節ではハノーファーに2-0で負けてるからチームはそこまで出来上がっていないだろう。
そう思っていたが、どうやらそうではなさそうだ。明らかにシャルケは押されている。
そこで調べると、前節のヴォルフスブルクは9人で試合をしていたようだ。


試合は動かず後半に。
CK、先週と同じような形で失点。

…と書いたところまでで、中継を見ながらのブログ作成は終了されている。

4-0でシャルケは敗北した。

★★★

その他のメモ。

ドルトムントは昇格チームのアイントラハト・ブラウンシュヴァイクを2-1で下しています。

途中から出場したホフマンという謎の青年が活躍していました。7番を背負う謎の青年です。
彼は、2011年にドルトムントに加入し、今年の4月にトップデビューを果たした選手です。
プレシーズンマッチでの評価がよく、点の動かない後半23分に大きな期待とともに投入されています。
そして彼は期待に応え1点目を奪い、さらにPKをとり、これをロイスが決めました。

バイエルンは前半13分のマンジュキッチのゴールを守り切り、地味な展開で、アウェーでフランクフルトに0-1の勝利を収めています。
前節で起用のなかったシャキリがスタメン起用され、同様に起用のなかったチアゴも、そのシャキリとの交代で後半20分に投入されています。
あれ、ハビ・マルティネスは…。

ヘルタは、試合開始直後、「PA内でパスに反応し飛び込みGKと競り合う細貝」という貴重なシーンがありました。そこに象徴されるように、かなり前目でも動きまわっていました。ちらっとみたけどのびのびやっていて、「あれ、こんな選手だったっけ」と思うくらいのそれでした。

そのヘルタの対戦相手であるホームのニュルンベルクは、1-2で迎えた後半44分にFKのチャンスを得ました。そして清武が素晴らしいFKを決め、引き分けに持ち込みました。

マインツの岡崎はフル出場。得点はないものの、いまや驚かなくなったキレのいいドリブルなども披露しました。また、チームメイトともうまくやれているようです。

2013年8月14日水曜日

偶然に頼った音楽のこと

偶然に頼った音楽に対する人気が、しっくりこない。

偶然に頼った音楽は、例えばこのような5分でつくれる他の偶然に頼った音楽と、果たして区別できるのだろうか。



2013年8月12日月曜日

シャルケ(第1節ハンブルガーSV戦)のこと

ついにブンデスリーガ13/14シーズンが開幕しました。

バイエルンは3-1でボルシアMGを下し、ドルトムントはスタメン起用されたオーバメヤンのハットトリックもあり4-0でアウグスブルクを圧倒し、2強はその力を示しています。

また、日本人は、移籍組がいきなり活躍を見せました。

ヘルタとフランクフルトの試合では細貝選手がボランチで先発出場しました。

長短のパスを散らし躍動した細貝選手の活躍もあり、ヘルタは6-1とフランクフルトをチンチンにしています。「チンチンにする」というのはいつの間にかサッカー用語みたいになっていますが、ガンバ時代の安田理大選手がよく使っていたイメージです。また、細貝選手はブンデス公式HPによるこの試合のMOMを獲得しています。

フランクフルトのGKは昨季のシャルケ戦でもとんでもないセーブを連発していたケヴィン・トラップ(ドイツ代表の第三GKでもあります)。6失点、完全に守備が崩壊しています。トラップは、ドイツ紙キッカーによる昨季のベストイレブンに、ノイアーを押さえて選ばれています(内田選手がラ―ムを押さえて選出されてしまい、本人含め微妙な反応をするほかなかったファン投票によるベストイレブンとは別のやつです)。ちなみにドイツ代表の第二GKはこのあとシャルケが対戦するハンブルガーSVのアドラーです。

そして、シャルケの試合の直前には、マインツとシュトゥットガルトの試合が行われています。

この試合で岡崎選手は、古巣相手に得点を決めました。数人に囲まれつつも中盤でボールをキープし味方に預ける岡崎。そのままゴールへ走る岡崎。ロングボールをエリア内で受ける岡崎。ザキオカターンをする岡崎。左足でDFの股下を通しゴールを決める岡崎。マインツ背番号23オカザキ。直後にCKに対しヘディングでゴールの危機を救った岡崎。オカザキ。オカザキ!オカザーキ!

この試合を見ても感じましたが、ドイツのGKの質はかなり高いです。わりと守備が崩壊めでもロースコアにとどまるのは、GKが最後に帳尻を合わせているからです。

ちなみに、この夏にシャルケからマインツへ移籍したクリストフ・モリッツ選手と、同じく今夏にドルトムントからシュツットガルトへレンタルされたモリッツ・ライトナー選手は、ともにこの試合に出場していますが、同じ時間にピッチに立つことはありませんでした。姓にも名にもなる「Moritz」の正体は掴めませんでした。


★★★

第1節、シャルケはハンブルガーSVをホームで迎えた。

昨季は11月のアウェイで3-1で敗れているが、4月末に行われたホームでの対戦ではフンテラールのハットトリックもあり4-1で下している。特段の苦手意識はない相手である。

ハンブルガーSVは、以前も述べた通り、先月、30分ハーフで行われるテレコムカップで0-4でバイエルンにボコボコにされている。

また、先月末のテストマッチで2部所属のドレスデンの対戦でも0-4で大敗している。これに関し、ロッカールームでSDのクロイツァーさんが激おこだったという情報が入っている。その記事のタイトルは『HSV強化部長:「こっちもグッチ、あっちもグッチ!」』という臨場感のあるもののだった。調整がうまくいっていないのか、それともこの説教でチーム状態が上向いたか、それは不明である。

ちなみにシャルケの昨年の第1節は、アウェーでハノーファーと2-2で分けている。



キックオフ。

試合は早々に動いた。カウンターでドラクスラーがフンテラールにパスを送る。GKの位置と体重のかけ方を見極めたフンテラールが冷静に押し込んでシャルケが先制する。

しかし、マティプのハンドによりすぐにPKで返される。PKの判断に抗議をせず悲しそうな顔をする3日前に21歳になったばかりのマティプ。キッカーはいつの間にかハンブルガーに帰っていたファンデルファールトだった。これが決まり悲しそうな顔をするマティプ…。

足を踏まれたドラクスラーは下げられ、1つ年下の18歳レオン・ゴレツカと交代。水曜のパラグアイ戦のドイツ代表メンバー21人のうちに、ドラクスラーは最年少で入っている。大事に至らなければいいが。

その交代の直後、ロングフィード。からのクロス。からのヘッド。一瞬のカウンターで再び失点。

焦る時間が続く。しかし前半終了直前、CKのチャンス。ショートコーナーを選択しクロスが上がる。これをフンテラールが押し込む。自信に満ちたオーラがある。今季はいけそうか。サライが来たことによって奮起したんですかね。フン起したんですかね。

前半が閉じられる。先制直後のPKやドラクスラーの負傷交代といったアクシデントもありつつ、前半の内に同点に返しておけたことは大きい。

後半の立ち上がり早々、ハンブルガーにCKのチャンス。これをファーで合わせられ逆転されてしまう。

CKの守備は、背の高い選手は、ニアにブロックをつくるか直接相手選手のマークにつく役割を任される。他方で背の低い選手は、ファーサイドのゴールライン上に立ち、空間を塞ぐ役割を任されることが多い。今回も内田選手はその位置にいた。ファーでマティプが競り負け、ヘディングで合わせられてしまった。ボールは内田選手とGKのヒルデブラント選手の頭上を超えていった。

ちなみに先の試合でヘディングでスーパークリアした岡崎選手もこのファーの空間を塞ぐ位置にいた。ちなみに同様の理由で、CKやFKのときに最後列中央センターラインの少し前に一人で構える役割も、内田は任されている。

ノイシュテッターに代えアダム・サライ投入。バタバタする。落ち着く。バタバタする。落ち着く。完全に引かれてしまい、なかなか崩せない。無理めな態勢での内田のフンテラールへのクロスや、遠目でのミドルの選択など、リズムに変化をつけたところでチャンスは生まれていく。

そんな中、クレメンスがミドルを放つ。シュートコースはほとんどなく、DFの人数も相手の方が上回りブロックがつくられていた。とはいえリズムに変化をつけるという点では悪くない選択であろう。しかし、やはりシュートコースはなく、シュートはGKの真正面。GKアドラーは両腕でボールをつかむ。しかしボールはこぼれる!そこをサライがつめる!押し込む!同点に持ち込むことに成功した。

シュートで終わることも大切だ。Jリーグを2連覇した監督でもある松木さんが常日頃「シュートで終わる意識!シュートで終わる意識!」とおっしゃっているように。シュート意識は、このように何かしらのアクシデントで点が入る可能性があるため、攻撃のための意識という側面もある。他方で、守備のためでもある。とりわけ前掛かりになっているときは、後ろの人数を確保するためにもシュートで終わることが必要になる。数年前から、脳内松木さんが叫ぶことが多くなった。

その後はお互いにチャンスが生じる。フクスのFK。いい感じにエリア内でこぼれた。マティプが受け取る。ゴールは目の前。シュートコースもある。ボールは左にそれる…。マティプの悲しそうな顔…。


昨年も第1節は分けた。しかしその後2連勝している。立て直すことを期待したい!


★★★

試合後、ドラクスラーの代表離脱が報じられている。全治等は不明である。心配だ。。

2013年8月10日土曜日

爆裂お父さんのこと

色々と騒がれている先の27時間テレビにおける「爆裂お父さん」の企画。

いくつかのことがすでに様々な場で指摘されているが、どれもピンとこない。仮に問題があるとすれば、そもそもAKB48が出演したことなのではないだろうか。

あのコーナーの趣旨はこうだったはずだ。すなわち、売れないアイドル(あるいは売れかけているアイドル)が、発売されるCDの宣伝のために登場する。そして、鍋を囲みトークをする。その中で、予め用意されたきっかけにより加藤さん扮する「爆裂お父さん」が怒り、ジャイアントスウィングがなされる。この「ジャイアントスウィングによる回転」と「CDの回転」とが掛けられて、加藤さんによりアイドルの身体が回転させられている間にだけ楽曲がかかり、それが宣伝となる。というものだ。

そのようにして、「酷い目にあったのに何故か心からお礼を言う」という倒錯した状況が現れるのだ。そこにシュールな笑いがあったのではなかったか。

このシュールさが笑える笑えない云々という指摘は、暴力の是非を問題とした場合には、論点がズレている。意味のある暴力ならアリで意味のない暴力ならナシ、とでもいうのだろうか。そう考えるのでなければ、暴力の是非において問題とされるべきは合意の有無であり、今回、合意は明らかに存在し暴力としては問題がないというほかない。加藤さんと彼女たちは、加害者と被害者という関係にあるのではなく、企画の表現主体という同一の立場にあるのだ。そこを理解できないのは、アイドルという存在にのめり込みすぎというものだろう。

とはいえ、違和感を残す放送であったことは間違いない。そして、問題や違和感の正体が暴力でないとすれば、どこにあるか。それはやはり、AKB48が爆裂お父さんに出演している、という部分だろう。

AKB48は売れないアイドルや売れかけているアイドルではない。ジャイアントスウィングやそれに類する暴力を受ける理由が企画の表面上存在していないのだ。

特番であることから、仮にAKB48の出演という違和感には目をつぶるとしても、決定的に問題がある箇所があった。それは、お台場合衆国のCMが途中で何度も配置され、CMにおいて難なく曲が流されていたということだ。これに関しては岡村さんも気になったようで、CM明けに「いまのはCMやからね」といった感じのフォローをしていた。これはさすがにまずいだろう。

なんであれ、彼女たちにはジャイアントスウィングによって宣伝を受ける理由がないのである。違和感の正体はここにあったのではないか。

★★★

AKB48は、一瞬の印象では価値を把握できないハイコンテクストなコンテンツであった。少なくとも私にとってはそうであった。しかし最近、ユーキャンのCMの子やめちゃイケの試験におけるバカの子といった、一瞬の印象で価値を把握できる子たちが売り出されており、一般視聴者もコストなく価値を享受できるようになっている印象がある。私見であるが、バカの子のかわいさは半端ない。確実に私の「かわいい」というイデアの水槽か出てきた存在である。いかなる修正も必要としない完全なる存在である。

2013年8月7日水曜日

シャルケ(DFBポカール1回戦)のこと

本格的に夏ですね。13/14シーズンが始まりました。

★★★

週末のリーグ戦開幕に先立ち、DFBポカール1回戦の32試合が行われた。シャルケは8月5日に5部相当のリーグに所属するネッティンゲンと対戦している。

DFBポカールとは、ドイツカップとも呼ばれ、ブンデス1部と2部のクラブに加え3部の前シーズン上位4クラブ等が加わった64チームで競うカップ戦である(日本でいう天皇杯にあたる)。負ければ終わりの気の抜けないトーナメント戦(ノックアウトラウンドと呼ばれる)であり、1回戦では8月2日から5日の間に32試合が行われている。対戦相手は抽選で決められるが、1部所属チームは1回戦は下部のチームとあたる。なかなか波乱は起きないが、プレシャーなく気合十分の相手に足をすくわれることもなくはない(これも天皇杯と同様である)。今回でいえばブレーメンが3部のザールブリュッケンに3-1で敗れるなどということも起き、なかなか油断はできないものとなっている。

ネッティンゲンは、多くの場合ポカール1回戦がそうであるように、がんがんプレスをかけて気合い十分で立ち向かう下部チームであった。前半にはシャルケより多く決定機を迎える。対するシャルケ、気になる公式戦初戦は、フンテラールとサライを同時起用した2トップという布陣で迎えた。1トップでドラクスラーをトップ下とした場合に、バストスが抜けたため、左サイドの駒に不安を覚えたのかもしれない。

「左でつくり右でしとめる」というザックジャパンのようなチャレンジを繰り返すシャルケ。先制点はこのチャレンジが結実した形となった。昨シーズンは若手コラシナツに場所を奪われたフクスのクロスを、中央のサライがスルーし、ファーで受けたフンテラールがこれをダイレクトでゴールに沈めた。セットプレーを多くの場合任されてきたフクスの足元、サライの視野、フンテラールの決定力、という3人の良さがまさに現れたシーンだった。

後半になっても点差は1にとどまり、依然相手はいきいきとしていたことから、ヘーガーが下げられ、出場する予定のなかった内田が投入された(前日にスタッフから、コンフェデ等により合流が他のメンバーより遅れたことを理由に、起用されないことを告げられていたそうだ)。さらにサライをバルネッタと替え、フンテラール1トップでドラクスラーをトップ下とする布陣となった。やはり左サイドのバルネッタは若干心許ない。もっとも、器用さを有する故にSB起用までされてしまうバルネッタに対しては、長谷部や細貝に対するものと似た気持ちを覚えるので、個人的には応援している(バルネッタについての詳細は以前も述べた)。

相手選手に苛立つドラクスラーを内田がなだめるシーンもありつつ(内田がヘーベデスに審判に抗議にいくよう指示を出したところでTwitterのTLは盛り上がっていた)、そのドラクスラーはゴレツカと交代。そして終了間際18歳のゴレツカが猛ダッシュし、フンテラールとのワンツーで抜け出し素晴らしいゴールを決めて2点目。移籍後公式戦初ゴールとなるゴールが決まった。



はっきり言って苦戦してしまった。とはいえ、ここは柱の男のリーダーであるカーズ氏の哲学を思い起こすべきである。「勝てばよかろうなのだァァ」は、カップ戦に対する心構えでもあると言われている。悪い結果ではなかったといえよう。

日曜はいよいよ開幕戦、ハンブルガーSVとの試合。期待したい。