2014年6月28日土曜日

W杯


 W杯始まりました……

 

仕事の関係で10か月間東京を離れて半ば休暇のような日常を送っているので、「とにかく観れるだけ試合を観てやろう」という精神の下で過ごしています。かなり観ています。そして早く東京に帰りたいです。

もっとも、全試合観るぞ、という熱意は5日目にして「イラン対ナイジェリア」に打ち砕かれました。事前の情報収集不足のせいか熱意に睡眠が勝ってしまいました。それでもわりと観ています。そして早く東京に帰りたいです。

 

 そんな素晴らしい生活を残すべく、グループステージを振り返りたいと思います。

 

なにかを語るときには、軸を持つことが重要と思われます。

そこで、今回は「1984年生まれ」の選手に焦点を当てたいと思います。

 

「制約があって工夫が生まれる、創造が生まれる」というのは、まさに手を使えないという制約をもつサッカーの美しさにも通じますね。軸とするのは今年30歳の生まれ年の選手たちです。彼らは代表でも重要な位置を占めているはずです。そして、偶然にも私と同じ年の生まれとなります。

 

 世間ではにわかだなんだという箱がそこらじゅうにばらまかれていますが、なんであれ、楽しめばいいと私は考えます。わざわざ自分のものさしを他人にあてにいく必要はありません。「にわか」の話は、「自分にとって目的であるものが、他人に手段として扱われている」と感じるときの違和感や苛立ちの話だとも思うのですが、この素晴らしいフットボールの祭典を前にすればそんな話どうでもいいです。

 

1.グループA ブラジル、クロアチア、メキシコ、チリ

(1)クロアチア代表

 レアルマドリードのモドリッチという圧倒的才能。技術の高さもありハードワークするというメンタル的にも足首的にも超人。そして、バルセロナへの移籍が決まっている注目のラキティッチ(11年から直近の14年のシーズンまで所属したセビージャのエメリ監督に「彼はピッチ内外で模範となる選手だった。彼を指導できたことは私にとって誇りだ」とまで言わしめました)、バイエルンで圧倒的な決定力を示すマンジュキッチなどがいます。そんなクロアチアを私は応援していました。

 また、13年にサウサンプトンに移籍し吉田選手が出場機会を失うきっかけとなったCBのロブレン(ブラジル戦で西村主審に退場させられた選手です)や、マンジュキッチと入れ替わるようなタイミングでバイエルンを出たオリッチ選手なんかもいます。オリッチ選手は左SHにいて、4年間のおおくの場面で日本の形であった「左でつくって右でしとめる」というサッカーを左SBのブルサリコ選手と高い能力で遂行していました。

あるいはドルトムント時代香川選手とプレステしていたペリシッチなんかもいますね。SHというのかウイングというのか分からないですが、いい選手です。

 グループリーグ3試合目まで希望を残すも、メキシコとの直接対決で敗れてしまいました。クロアチア代表がグループリーグを敗退してしまうのは、本当にもったいなく感じました。ただ、同時に、クロアチア戦でのメキシコは本当に強かったです。

 あれ、さっそく84年生まれ不見当…。

94年生まれならいるんですけどね。コバチッチ。

 

(2)ブラジル代表

84年生まれ、いましたチアゴ・シウバ。セレソンのキャプテンです。

3シーズンすごしたミランを2012年に出て、PSGに所属なう。W杯についてのブラジル国内の財政問題について問われた際に、「僕は自分が完全に理解できていないことについては語れない」と述べるなど、その知性は言語能力としても簡単にみてとれます。セレソンのキャプテン、という重みに耐えうる人材であることは間違いないです。そもそも一流のサッカー選手の知性やばいです。

 とにかくちゅうもくなのは、チアゴ・シウバとダビド・シルバってなんかそう思われている以上に語感が似ている気がします。個人的にはファンブイテン(ベルギー代表)とフォンベルゲン(スイス代表CB)もまちがえやすいです。ロゴスの深淵です。

気づけばダビドルイスはダビルイスに変名しましたが、かつてヤンコラーがヤンコレルになったときの微妙な気持ちに比べればまだまだです。後述する84年組のスナイデルさんがスナイダーになることだけは阻止しましょう。あれ、スイス代表にいるのは、インレル、インラー?

ブラジル代表は、説明不要です。みんなすごいです。気になっていたのは、昨年の夏にボランチの二人がW杯まで一年の時期に思い切って所属チームを変えていたことです。グスタボがバイエルンからヴォルフスブルクに、パウリーニョがコリンチャンスからスパーズへ。前者は出場機会を求めてだったかもしれませんが、本大会を見る限り、両者の移籍は成功していたようです。

戦術的には、2列目のネイマール、オスカル、フッキは試合によっている場所が違ったりするのですが、基本的には、右利きのネイマールが左SHに、左利きのフッキが右SHに位置し、バイエルンのリベリーと今大会で悪魔的な動きをするロッベンの関係と同じですね。彼らはボールを持つと中央に向かっていくのですが、分かっていても止められないのです。

 

(3)メキシコ代表

ドス・サントスとか、チチャリートとかがいますね。

ペラルタという予選で11試合10得点決める選手がいると聞いて注目していたのですが、3試合で1ゴール1アシスト。やっぱりすごいです。サントス・ラグナという謎のチームに所属している彼の生年月日は、、、、、1984年1月12日だそうです。きたー!

 

(4)カメルーン代表

あれ、監督フィンケじゃん。浦和で監督やtってましたね。エトーやソングというバルサ系の選手や、マインツで岡崎とチームメートで昨年10点とっていたエリック・シュポ・モティングがいますね。モティングに注目していたのですが、0ゴール0アシストで大会を去ってしまいます。切ない。

 

2 グループB スペイン、オランダ、オーストラリア、チリ

(1)スペイン代表

はい、84年組います。イニエスタ。

 クラブW杯で日本を訪れた際の東京メトロの吊革に掴まる優しい笑顔はあまりにも有名です。シャビさん(フットボールとアンチフットボールを見分ける達人)とともにアラゴネス監督に若くして招集されて以来、その技術と頭脳から、代表に当然定着。頭脳で行うサッカーの軸を、代表でもバルセロナでもシャビさんとともに支えている選手です。

 役割がそういう役割だから、というのが主な理由ではあると思われますが、リーがでは過去3年間、それぞれ「2点、3点、3点」しか決めていない。それでもゴールを決めるイメージを保持しているのは、前回W杯決勝の延長での姿によるものと思われます。すなわち、オランダ代表のおかげである。

も。その節はどうも、をどのような形でオランダに示すかを期待されるも、チームを機能させることができずしかも、向こうは5バックだったとはいえども、そこそこ高いラインを保って底からパスを回してそこそこフットボールしていたという切なさも。も。

あれがフットボールだったかアンチフットボールだったかはシャビさんのみぞ知る。

という流れでオランダに大敗してしまい。敗退の決まっている3試合目のオーストラリア戦は本当に切なかったです。誰よりも戦う姿勢を示していたビジャ選手が途中交代させられ、ベンチで泣いているシーンは本当に切なかったです。勝負の世界の切なさを知ります。交代前にヒールでの見事なゴールを決めているんですけどね。近年のスペイン代表の活躍の中核を本当に担っていた選手です。代表、お疲れ様でした。

 

(2)オランダ代表

魅惑の男、ロッベン。84年組です。

 世界最強チーム、といまだ言われていると思われるバイエルンに所属しています。しかし、今年のCLでレアルマドリードにまさかの大敗。今大会1試合目の相手のスペイン代表には、レアルマドリードのシャビアロンソ、セルヒオラモス、カシージャスが所属しています(あれ、意外と少ない。ポルトガルなんかもCR7、コエントラン、ペペの3人ですね。ペペ…。)。

前回決勝の切なさからは4年もたっていますが、ともあれ復讐に燃えるロッベンさんは、ご存じのとおり、そのとんでもないスピードのドリブルでセルヒオラモスを抜き去り、また、カシージャスを文字通り這いつくばらせる、という鬼の所業をやってのけました。特に、セルヒオラモスは今回CBでしたが、代表でも06W杯、09コンフェデ杯、10W杯では右SBでそのスピードを活かしていました。レアルでも、クラシコで、重心を落としかかとを上げ、素早いメッシより先に動き捕える姿はあまりにも有名です。どうせ抜かれたのはピケの方だろう、と多くの人が思い込まされた中、まさかのぶっちぎったのはセルヒオラモスだったというロッベンさん。鬼です。

 そしてスナイデル。彼も84年組です。

 スナイデルさん。時折プレースキックでの足元の精度を見せつける以外は空気でした。ガラタサライにいらっしゃるので、ドログバとともにCLで内田篤人に襲い掛かった記憶を覚えています。その際は、ドログバさんがオーラ担当で、スナイデルさんは思わせぶり担当で、ユルマズという選手にフィニッシュされた記憶です。やはり技術があるので、寄せなければならない、という本能を喚起することから、存在だけで意味があります。例えば試合終了間際のパワープレーでGKが上がる場合に、GK自体の合わせには危険がなくとも、マークをずらすための強い意義がある。といった程度には存在自体に意義があるのかな、なんて。

ファンペルシーさんはあらゆる文脈を破壊して突如得点ボードに数字を加えます。

オランダ、よくわからないけどとりあえず強いです。カイトがまだ代表にいて謎の安心を覚えました。

 

(3)オーストラリア

 ケーヒル最高。2試合目のオランダ戦は、グループステージでの最高の試合の一つだったかもしれません。

 

(4)チリ

 ユヴェントスのビダルとか、バルサのアレクシス・サンチェスがいます。

 

3 グループC 日本 コートジボワール コロンビア ギリシャ

(1)日本代表

 長谷部誠。日本のキャプテンです。早生まれの84年生まれです。長谷部先輩。

怪我明けのせいか、あるいは「切り札としての遠藤」のためか、初戦コートジボワール戦では途中交代。大雨の中、日本がどうにもならない状態を見てベンチから大声を発していた姿があまりにも印象的でした。

 初戦に関しては、CB森重。今野のときは右CBを任される吉田、彼を左に追いやるCB森重。五輪代表でも内田の隣に位置した森重。初戦は彼がキープレイヤーだと思いながら見ていました。彼についてはあまり相手にも情報ないでしょうし。

ボランチが左サイドで球を散らすためには、左利きであるか超絶足元がうまいかどちらかの要素が必要だと言われていますが、遠藤を控えにしたために、左でつくるのは難しい日本代表でした。そこで、誰がつくるのか。森重です。右CBを任された森重にボールが集まっていたように思います。彼が配球するシーンが多く見られました。左の香川へ長いパスを通すなどの職人技もみせてくれましたが、長谷部や内田をうまくつくって崩すことはできなかったみたいです。

 その後の展開は筆舌に尽くしがたいものがあるので触れません。

 

(2)コートジボワール

 ローマの左利きジルビーニョが以外にもルマンで松井とアーセナルで宮市と一緒だったっていうのは今回初めて知りました。10W杯直前の日本戦でドログバが骨折したことを彼は覚えていました。直前のインタビューでそう言っていました。ドイツ代表のシュバイニーさんが加地を壊したことを日本人が忘れないのと同じですね。加地さんはアメリカのリーグに挑戦するらしいですね。応援しています。とはいえ選手としてシュバイニーも好きです。

 

4 グループD ウルグアイ コスタリカ イタリア イングランド

(1)ウルグアイ代表

 ウルグアイといえば、まず挙げられるのが、カバーニ。ナポリでスーパーな3シーズンをすごしたのち、13年よりPSGに所属しています。チアゴ・シウバとチームメイトですね。ダビド・シルバとはチームメイトではりません。

次に、前回大会得点王が来日、というふれこみでセレッソ大阪に来たフォルラン。そしてゴディンでしょう。ゴディンは今年のリーが最終節にバルサとの直接対決を制した際、また、その直後のレアルマドリードとのCL決勝、その2戦でゴールを決めてしまう本番に強い近頃もっともノリノリのCBです。

 そしてぺレイラさん。84年組発見しました。彼はベンフィカ所属です。初戦コスタリカ戦では後半49分に退場してしまいます。この試合、怪我が癒えているか癒えていないのか微妙なスアレスさんは、出場機会なく、涙を流していました。

 そして決勝トーナメント出場は、3試合目までもつれこみました。スアレスさん、あなた噛みましたよね。3度目ですよ。試合中に相手選手を噛むの、3度目ですよ。イタリアに出されたレッドはウルグアイには出ず、どころかカードが出ずふつうのファールとされた直後にウルグアイの決勝点です。すっきりしません。

 すっきりせず寝れずに日本戦を観て、私はほぼ寝れずに出社しました。私だけではないはずです。スアレスさん。あなた噛みましたよね。

 もっとも、今年のリーガ最終節で優勝が決まるバルサとの直接対決でゴールを決め、その後のCL決勝でもゴールを決めたゴディンとかいう男のゴールは素晴らしいものがありました。ゴディンと決めました。

 

(2)コスタリカ代表

 世界中のあらゆる前言を撤回させた勝者。

 

(3)イタリア代表

 大会直前にモントリーボが怪我で離脱しています。84年生まれだとばかり思っていたのですが、85年の早生まれでした。

 近頃ドルトムントに移籍が決まったインモービレ(24)は、ヒーローになれず大会を去ることになってしまいました。

 自らが主役になるのではなくスペースを創出するオトナな動きをEURO12同様に見せてくれたカッサーノもまた、初W杯でヒーローにはなれず大会を去ることになってしまいました。

 そんなイタリア代表の84年組は、ユベントス所属のキエッリーニです。彼は意外な経緯で今大会のイタリア代表の主役となってしまいました。スアレスさん、あなたキエッリーニのこと噛みましたよね。

 最後のW杯にピルロは主役になることはできませんでした。

 

(4)イングランド代表

 成し遂げることなくジェラードとランパードの最後のW杯が終わってしまいました。

 初戦ではジェラード含め11分の5がリバプールでした。

 若手のスターリングとスターリッジ。紛らわしいです。リバプールが母体であるのにジェラードが試合に入れていなかったことが印象的でした。

 リバプール所属の右SBグレンジョンソンと、エバートン所属の左SBのベインズは84年組です。注目していたのですが、特になにも起こらなかったです。

 若手のチェンバレンも覚醒しませんでした。

 プレミアリーグに優秀なGKが外からやってくるのでイングランドはGKが育たない。よってイングランド代表は常にGKにハンデを負って戦ってきた。という説を最近まで私は信じていたのですが、ハートがいるとかそういうことは関係なくダメでしたね。

 切ないです。
 
 
本日は以上で。

2013年9月2日月曜日

LUNA SEAとももクロのこと

LUNA SEAが久しぶりにMステに出ていました。どうしても生で見たいと考え、無理に早く帰宅して見ていましたが、なんと13年ぶりであるとのこと。

13年前といえば、3月に『gravity』、そして5月に『TONIGHT』を発表。そしてアルバム『LUNACYが7月にリリースされます。筆者はこのアルバムが一番すきです。その直後にBRAND NEW CHAOSツアーが開始されます。筆者は高校時代の夏の思い出としてこのツアーの参加が記憶に残っています。素晴らしいライヴでした。そのとき買った赤いストラップはいまでも大切に飾ってあります。その後、シングル『LOVE SONG』を発売するとともに、終幕を発表。年末の東京ドームで終幕しました。それが13年前、2000年の出来事です。

今回のMステ出演は、この年以来のものとなるようです。今の若い世代はLUNA SEAを知らないのではないかと思い、説明させていただきたいと思います。現在25歳以下の方々(以下、主にこの世代の方々を「若い世代」と表記します。)は、終幕前は小学生以下ですので、多くの方々がほとんど記憶にないのではないでしょうか。これは大変にもったいないことです。

要旨を先に述べておきます。ただひとつ、これだけを覚えて帰ってください。Youtube先生のところに行ってください。端的にいうと、「LUNA SEAを見ているときの気持ちは、ももクロを見ているときの気持ちとほぼ同じである」ということをお知らせしておきたいのです。

ももいろクローバーZがまだ「Z」を持たない6人の時代、5人体制となる少し前、初めて「しゃべくり7」に出演しました。その月曜日に私はももクロを知りました。多くの人がそうであるように、これをきっかけに私はYoutubeへと向かい、今に至るわけです。非常にベタなパターンだと思われます。

そして、あるとき気が付きました。ももクロを見ているときのこの熱い気持ち、これは以前どこかで頻繁に味わっていたぞ、と。そうです。それがLUNA SEAです。音楽的喜びが加わるので私にとってはLUNA SEAはももクロの上位互換ですが、核となる気持ちはほとんど同じです。

音楽番組全盛の時代、凄腕の司会者とともに多くの音楽トーク番組があり、LUNA SEAの魅力がお茶の間に浸透することに妨げはありませんでした。しかし、今はそうではありません。そこで、この場で私が説明していきたいと思います。

LUNA SEAのメンバーは5人です。これは、ももクロと同じです。そして、5人全員キャラが立っている。これもももクロと同じです。さらに、5人全員目立っている。驚異的なことに全員が主役です。これもももクロと同じです。そして各メンバーと各メンバーのそれぞれの組み合わせによる相乗効果が楽しめる。これも、ももクロと同じです。この時点でほとんど同じグループといって差し支えないくらいです。

5人もいて、それぞれのキャラが明確に把握されるというのは非常に困難です。5人もいれば、誰かと誰かのキャラがかぶります。そうでなければ、誰かが目立たないです。いずれかになります。キャラがかぶるか、誰かが目立たない。5人もいえばそのいずれかは避けられません。1曲は5分程度です。またテレビ番組のトーク時間についても、15分程度でしょう。割り当てられた時間に対し5人というのは非常に多い人数です。そうであるのに、ももクロ、そしてLUNA SEAは5人全員のキャラが非常に明確に立っています。そして全員がそれぞれのキャラを活かして目立っています。

Twitterで見ました。「ガムを噛んでいるメンバーがいて態度悪い」「ギターソロの人、弾いてないじゃん。わざと弾いてない感じじゃん。なにあれ」と。見ました。ずいぶん出回っていました。これを見て確信しました。あぁ、これはももクロがしゃべくりに初めて出演したときと同じだ、と。

わずかなトーク時間。わずかな演奏時間。そこですでにキャラ立っています。ちなみにINORANさんのかっこよさ、RYUICHIさんの歌の魅力。さらには、ドラムを叩いているときの真矢さんの圧倒的なかっこよさに驚く声も多かったです。気付かれてしまいました。お茶の間の若い世代にLUNA SEAが発見されました。

そして気が付くことでしょう。各メンバーの個性と、それぞれの楽器が出す音や歌の個性が同じであるということ。これほどまでにキャラの立った演奏。そしてその中で5人全員が主役である。本当に驚異的なバンドです。

さらには、キャラが立つことも大切ですが、それよりも大切なことは、各メンバーがきちんとそのキャラ通りブレずに振舞うことです。それによって、安心が生まれます。期待が生まれます。組み合わせの相乗効果が具体的に想像できます。

ももクロは歌とトークでそれを発揮します。大舞台でれにさんは仮装して変な表情を見せてしまいます。あーりんさんの歌声はもはや曲中でうまいフックとして利用されています。トークでは地味だった緑のあの子、ちょっと能力高すぎないか。そして黄色は赤に今日も甘えているぞ。真面目な顔を見せたときの赤の迫力にぞくぞくくるぞ…。そういったそれで、安心と期待をもたらしています。では、LUNA SEAの場合はどうか。

まっっったく同じです。

それぞれのキャラ、個性がブレません。そして、キャラがそのまま音になっています。曲の中でも5人全員が主役です。そして特徴同士が絡み合って奇跡を起こします。驚異的なグループです。

LUNA SEAはメンバーの誰かが原曲を持ち込み、それを全員で完成させます。そして、ここがすごいのですが、誰が原曲を持ってきた曲か、すぐに分かります。なぜなら何度も強調しているように、各メンバーのキャラが立っているからです。このイントロのコードを崩した歪んだギター、これはSUGIZO原曲だなぁ。ははーん、この曲はベースの勢いで導いているからJだろう。調べると、正解です。というか、そのような楽器単位の特徴がなくとも、曲の雰囲気で分かります。各メンバーのソロを見ると、本当にキャラそのものが浮かびあがります。あぁあの曲のあの部分はやはりINORANさんのアイディアだな、と明確に感じとることができます。

この部分はCHAGE AND ASKAにも似ています。不完全な人たちが補い合っているわけではなく、完成されたミュージシャン5人が集まっているのだ、と。最近のアイドルは「未完成を愛せ」という雰囲気がありますが、本当に魅力的なアイドルは「完成度の中のほつれ」を持っているアイドルだと思います。これはライムスターの宇多丸さんがよくラジオで言っていることに近いですが、「完成度の中のほつれ」が重要です。未完成だけど、そこをなんとか愛してくれ、というのはハイコンテクストすぎるコンテンツを生み出してしまいます。お茶の間は戸惑います。私も戸惑います。この人が1位!?、と。たぶんよく知れば魅力も分かるのでしょう。たぶん。おそらく。たぶん。しかし楽しむために知っておくべき文脈が多すぎます、ハイコンテクストすぎます。要求が高すぎます。そうではなく、「完成度の中のほつれ」こそ重要でしょう。(ただ、方針転換があったのか、ユーキャンの資格の子やバカの子はあからさまにかわいいですね。素晴らしいですね。)

ももクロは未完成風ですが、完成されています。よくよく考えると、修正すべき部分は見当たりません。このままの特徴で、年齢を重ねても違和感なく存続することを頑張ってほしいと思わされます。全てのライブが貴重です。若い時代は永遠ではありません。

これはCHAGE AND ASKAもそうです。LUNA SEAもそうです。未完成が補い合っているわけではありません。技術もアイディアも超一流です。完成されたミュージシャンが集まってそれぞれの個性をキャラを最大限に発揮しています。そして、はみ出して見えるほつれ、キャラ。RYUICHIさんの歌唱力、表現力の中にはみでてくるキャラ。先に述べた13年前の『TONIGHT』では、イケメンで技術あるギタリストがEのオクターブの「タタッタタタッタ」っていうフレーズをひたすら繰り返します。これはキャラの表出の極致ですね。しかも曲の初めに裏から入っているのもかっこいいですね。Jさんが持ってきたJさんのキャラそのものであるような楽曲の雰囲気。それにINORANさんというキャラを乗せたらこのようなとんでもなくかっこいい曲が生まれるわけです。これは全ての曲について言えることです。

また、時を経たキャラの変化もきちんと活かされています。今回のMステで演奏された新曲はINORANさんが原曲です。これはちょっとした驚きです。例えば、13年前の『gravity』という曲もINORANさんが原曲です。これ、まったく雰囲気が違いますね。大きなことでいえば、メインギターを変えているんです。ピックアップがシングルコイルからハムバッカーに変わっています。例えば『STORM』という曲のライヴ映像を、昔のものと今の者を見比べてください。音が違います。そして、キャラも変わってきているんです。結構前からですが、INORANさんは笑う時に舌を出すんです。この前のMステでもそうでした。素晴らしい笑顔です。キャラが変わりました。音も変わりました。もう一度言います。キャラが変わりました。そして音も変わりました。はい。そういうことです。

これは、ももクロちゃんたちのソロ活動のヒントにもなるのでは、と勝手に思ったりしています。

以上、LUNA SEAの大ファンであり、ももクロの大ファンである筆者が取り急ぎお届けしました。LUNA SEAは間違いなくもっともっと世間の話題の中心にいるべきバンドです。

2013年8月28日水曜日

トットナム入門2のこと

前回の「トットナム入門のこと」という記事のアクセスが非常に高いので第二弾。

★★★

前回は、中盤のデンベレ、サンドロ、レノン、CFのデフォー、アデバヨール、そしてSBのウォ―カーの紹介をした。

トットナムは今夏大きな補強を行っている。
その一つとして、3000万ユーロでのスペイン代表ソルダードバレンシアからの加入がある。
02年からそのプロとしてのキャリアを開始した彼の初の海外リーグの挑戦だ。

8/27付けの記事によると、ソルダードはアーセナルとの北ロンドンダービーを楽しみにしているそうだ。

プレミアリーグではロンドンを本拠とするチームが多数ある。
トットナムもその一つであるが、他にアーセナル、チェルシー、フルハム、ウェストハムがある。
また、04-05シーズン以来に今季プレミアに昇格したクリスタル・パレスFCもその一つとなる。
ロンドンダービーといえば、チェルシーとアーセナルの試合が華々しく喧伝されるが、北ロンドンの狭い地域に焦点をあて、隣町ということを重視すると、トットナム対アーセナルこそ真のダービーということになる。

トットナムの本拠ホワイトハートレーンと、アーセナルの本拠エミレーツスタジアムの距離は、日本でいうと渋谷-新宿間より若干遠く、渋谷-池袋間より短いといった程度しか離れていない。山手線でいえば10分程度の距離である。
(アーセナルは06年7月からエミレーツスタジアムを使用している。それまでアーセナルが使用していたハイバリースタジアムとは1マイル程度しか離れておらず、移転後も変わらずトットナムとは近隣となっている。)

また、この北ロンドンダービーは距離的な近さのみならず、歴史的にもその重みがある。

サポーター同士のライバル意識も他のロンドンチームのサポーター間よりも強いと言われるが、その因縁は1913年まで遡る。
トットナムは1899年から北ロンドンの地にその本拠を構えていた。一方アーセナルは、テムズ川以南のロンドン南東部ウーリッチ地区に長らく本拠を置いていた。
しかし1910年、アーセナルはその経営が破綻してしまい、ヘンリー・ノリスという人物に買収さることとなる。
その後、彼の経営への積極的な意識の発露の一つとして、1913年に北ロンドンのハイバリースタジアムへの本拠地の移転が決定された。
現在あるどのチームを想像しても実感すると思うが、本拠地の移転というのは非常に大いなる決断である。
その移転先となったハイバリーと、トットナムの本拠ホワイトハートレーンとの距離はたったの4マイル。近隣のライバルが誕生することとなった。
そして…。

…といった事情を現地の人々がどの程度詳細に把握しているかは定かではないが、とにかくこのような歴史があるのだ。

★★★

そんな北ロンドンダービーを今週末に控えるトットナムであるが、実はすでに開幕戦でロンドンダービーを行っている。

それは、第1節のクリスタル・パレス戦だ。

試合結果としては、第1節のクリスタルパレス戦も、第2節のスウォンジーシティ戦もソルダードのPKによる1-0で勝利している。

この2戦においては、以前述べたデンベレのトップ下も実現されている。今年1月に加入したホルトビーも期待したい。シャルケではラウールが去った以降、トップ下でパスを散らし、献身的な運動量を見せていた(しかしフンテラールを上手く活かすことができず、ラウールがフンテラールをブンデス得点王に仕立てたような働きはできなかった。さすがにそれは求めすぎか…)。

また、今夏加入組であるブラジル代表パウリーニョ、ベルギー代表シャドリがそれぞれスタメンで起用されている。

おナjくトゥールーズから今夏加入したばかりのフランス代表MFのカプー(カプエとも表記される)も起用され、2節にはフル出場を果たしている。

このように、トットナムは新たな選手でチームをつくり直している(おそらくベイルも抜けるでしょう)。そんな中、PKによる1点で逃げ切りという形で、開幕2連勝を成していることは非常に良いスタートだといえる。

今週末のアーセナル戦は、今シーズン初の強豪との試合であり、先に述べた北ロンドンダービーでもあることから、非常に注目に値する試合となるだろう。

2013年8月26日月曜日

シャルケ(第3節ハノーファー戦)のこと

シャルケは第3節、中2日アウェイでハノーファーとの試合を迎えました。

ハノーファーはこれまで、第1節は2-0でヴォルフスブルク(最終的にはヴォルフスは9人で戦っていました)に勝利し、前節はアウェイでボルシアMGに3-0で敗れています。

内田篤人は大事をとりハノーファーに同行していません。右SBはホークラントが務めています。
中盤の底は左からジョーンズ、ノイシュテッター。そしてトップ下にゴレツカ。
左SHにドラクスラーが置かれ、酒井宏樹とマッチアップすることになります。
反対のSHはクレメンス。そして1トップにサライという布陣です。

注目は、ファルファンを怪我で欠くことから、SHをどうするか、という点にあったと思います。
中2日なのでスタミナ的な問題でマイヤーを起用するとは思えませんでした。
かといってバルネッタをスタメン起用するのも想像できないところでした。
そうだとすると、ドラクスラーを左SHとしてゴレツカをトップ下でいくことが考えられます。

おそらくこの予想は当たっていたのですが、前半の15分にこのプランは崩れ、元のフォーメーションは把握できませんでした。

前半15分、縦パスに抜け出したセネガル代表ディウフを、ホークラントとヘーヴェデスが追います。
そこで、スライディングしたヘーヴェデスは、足にいってしまい一発レッド。
これによって得たPKで先制されてしまいました。

最悪の展開ですね。

ケラー監督は選手を入れ替えない選択をしました。
前半40分にゴレツカを下げてサンタナをCBとして投入します。
しかし、その少し後、CKをきっかけとした混戦で前半終了間際に追加点を入れられています。
ディウフをつかまえることができず、フリーでヘッドを決められてしまいました。

後半10分にはサライが1点を返します。
右サイド高い位置でのフリースローを受け取ったクレメンスがクロスを上げます。
これをノイシュテッターが胸で前に落とし、これをサライが決めました。

この後、相手の退場もあり、決定機をつくりつつも、追いつくことはできませんでした。

最終的にはフクスまでイエロー2枚で退場していました。
ドラクスラーがなだめているシーンは「おお!」って思わされました。

★★★

◆ドルトムント対ブレーメン 1-0

1-0で連勝中のブレーメンを、ドルトムントはレヴァンドフスキの1点により下しています。
12年ぶりの開幕3連勝だとか。

◆ヘルタ対ハンブルガーSV 1-0

細貝選手がボランチでフル出場し、試合も勝利しています。

◆バイエルン対ニュルンベルク 2-0

守備的にいくという戦術的理由で清武選手はスタメンを外れています。
おそらく真っ向からいけばもっとやられていたと思われます。

ゲッツェ選手の初出場。
また、チアゴ・アルカンタラもさらっとスタメン固定ですねこれは。
と思ったらチアゴは負傷退場してしまいました。

リベリーとロッベンが1点ずつ決めています。
珍しくリベリーがヘッドで決めています。ブンデスでは初のようです。

◆マインツ対ヴォルフスブルク 2-0

岡崎選手は1トップで出場しています。
決定機を外してしまったのが残念でした。
ちょうどドラクスラーの縦パスにクレメンスとサライが抜け出し、最後にサライが外してしまったのと同じような位置からの同じような外し方でした。
しかしマインツ強いですね。

ヴォルフスは後半19分にグスタボがイエロー2枚で退場しています。
後半39分に長谷部選手をやっとピッチ上に見ることができました。
次節はグスタボを欠きまsすが、長谷部が出場できるかは微妙なところといえそう。

3節を終え、全勝チームはドルトムント、レバークーゼン、バイエルン、マインツの4チームだけとなっています。

2013年8月23日金曜日

シャルケ(CLプレーオフPAOK戦)のこと

CLが始まっています。

CLは、まず予選の3回戦があり、この勝者を加えたチームでプレーオフを行います。
このプレーオフの勝者10チームが加わった32チームで、グループステージを戦います。
グループステージは8つのグループに4チームずつが振り分けられ争います。
各グループの1位と2位の16チームが決勝トーナメントへ進みます。
3位チームはELの決勝トーナメントへ割り込みます(ELはCLの下位互換みたいなやつです)。

そして、昨年ブンデス4位のシャルケはプレーオフからの参加となります。
(3位以上のチームはグループステージからの参加となります。)

シャルケのCLプレーオフの対戦相手は当初、ウクライナのメタリストというチームでした。
しかし、メタリストは過去の八百長関与によって、UEFA主催のクラブ大会についての出場資格を剥奪されました。
そこで、シャルケの対戦相手はこのメタリストにCL予備予選3回戦で敗戦したギリシャのPAOKに変更されています。
これが決まったのが14日。
PAOKの監督は昨年12月までシャルケの監督をしていたステフェンス監督です。運命的な再会です。
もっとも、チーム情報的には(スカウティングですね)シャルケが不利になりそうな相手であるといえます。

★★★

そして21日にシャルケのホームでファーストレグが行われました(セカンドレグは27日にPAOKのホームで行われます)。

先の試合で怪我をしたフンテラールに代わり、サライが1トップを務めました。
そして、左SHには17歳のマックス・マイアーが起用されています。

試合開始から、ほとんどシャルケがボールを保持し攻め立てていきます。
内田選手も多くの時間で高い位置をとり、左SBのフクスも高く上がる場面が多くみられました。
パス等の技術的にも明らかに実力に差が感じられます。
しかし、前半に決められた得点は1点にとどまりました。
フクスがドラクスラーに折り返し、シュート。このこぼれ球をサライがファルファンに送り、ファルファンが見事に流し込んだ。
このゴール自体は素晴らしかったです。しかし、この1点にとどまりました。

問題だと思われたのが、相手の数少ないチャンスがいずれも危険な場面となったことです。
前半にPAOKに訪れたチャンスは、非常に少なかったです。
審判に二度ほどパスカットされそうになりましたが、特段の連携ミスなくシャルケが試合を支配していました。
しかし、カウンターやCKのチャンスはどれも決められてもおかしくありませんでした。
とりわけCKの守備はそろそろやばいです。確実に弱点だと認識されています。

また、右を使って攻める場合に、内田篤人が出し所を探して止まってしまう場面がかなり見れました。
ウクライナ戦でも同様の状態で仕方なく下がり目にパスを出してカットされていましたが、この試合でもカットを受けていました。

7月28日のやべっちFCのインタビューで内田選手は、パスの出し所がないときに無理に前にいこうとしてとられてしまうことが多いことを話していました。
そのことを本田選手にも指摘された、と。「無理だったらターンを覚えろ。やりなおせ。」と言われたと話していました。
「そういうのはラ―ムとかがすごい上手いです。見てても、ボールとられそうでとられないし。」
「僕それがまだぜんぜんできないので、これからしっかりやらないと」と語っています。

おそらくこのこともあって前につっかかろうとしていないのだと思いますが、ここでのパスミスが多いのです。
これは受け手の問題なのか出し手である内田選手の問題なのかは分かりませんが、もったいなく感じてしまいます。

ラ―ムは、リズムを崩さずに縦へ速く突破しようとして(あるいは突破するフリをして)相手の陣形を乱して、突然切り返して左後方にパスを出すのが上手いです。
そんなことができたら世界最高峰のSBになってしまいますが、期待したいです。

他方で、最新号のNUMBERで語っていた「自分のところで味方を休ませたい」という意識が実現されたシーンが見られました。
もともとシャルケでは内田選手がボールを受け取って前を向くと周囲が走り出す、というシーンが見られましたが、低い位置でボールをキープしてリズムをつくっているシーンがこの試合では見られました。

ちなみに、長友選手は同じくやべっちFCのインタビューで、現状では自分より上だと思うSBとしてダニエウ・アウべス、アシュリーコール、マルセロの三人を挙げていました。
スピード、運動量、積極的な攻撃参加、といった身体的な特徴により輝くSBですね。
身体能力型のSBと技術やサッカーIQ型のSBがいて、日本代表は非常にバランスが良いです。
これを活かした戦術として、「左でつくり、右でしとめる」というものがザックジャパンでは採用されているのでしょう。

前半のボール保持率はシャルケが70%。余裕のある展開で折り返しました。

後半もボールを保持しつつも攻めあぐねていると、後半28分。やられました。
左サイドから中央に切れ込んだストフがミドルシュートを決めます。
猛然と中央にドリブルし、シュートコースのないまま右隅にミドルシュートをしとめました。
ニアに選手が走り込んでいたのでGKはゴール左隅から動くことができず、中央にもPAOKの選手は詰めていました。
確かに人数は足りていましたが、シュートを選択しそれを仕留めたストフがすごかったというほかありません。

そしてシャルケが猛攻を開始するのですが、結局決まらずアウェイゴールを取られ分けてしまいました。さらにファルファンが怪我で退場しています。

後半24分に17歳のマイアーとの交代で入った22歳のクレメンスは、随所で技術を見せつつも、焦れてかなり遠い距離からのシュートを豪快にふかしてしまうシーンを見せてしまっています。また、同点に追いつかれた後にヘーガーに替え投入されたゴレツカ。イケメンで落ち着いたプレーをしますが、チームの空気を変えるには若すぎるのかもしれません。

ドラクスラー含め、シャルケは若手ドイツ代表のホープが揃っているチームになっているのですけどね。

次は27日にギリシャでセカンドレグがあります。なんとか勝ってほしいところです。