2014年6月28日土曜日

W杯


 W杯始まりました……

 

仕事の関係で10か月間東京を離れて半ば休暇のような日常を送っているので、「とにかく観れるだけ試合を観てやろう」という精神の下で過ごしています。かなり観ています。そして早く東京に帰りたいです。

もっとも、全試合観るぞ、という熱意は5日目にして「イラン対ナイジェリア」に打ち砕かれました。事前の情報収集不足のせいか熱意に睡眠が勝ってしまいました。それでもわりと観ています。そして早く東京に帰りたいです。

 

 そんな素晴らしい生活を残すべく、グループステージを振り返りたいと思います。

 

なにかを語るときには、軸を持つことが重要と思われます。

そこで、今回は「1984年生まれ」の選手に焦点を当てたいと思います。

 

「制約があって工夫が生まれる、創造が生まれる」というのは、まさに手を使えないという制約をもつサッカーの美しさにも通じますね。軸とするのは今年30歳の生まれ年の選手たちです。彼らは代表でも重要な位置を占めているはずです。そして、偶然にも私と同じ年の生まれとなります。

 

 世間ではにわかだなんだという箱がそこらじゅうにばらまかれていますが、なんであれ、楽しめばいいと私は考えます。わざわざ自分のものさしを他人にあてにいく必要はありません。「にわか」の話は、「自分にとって目的であるものが、他人に手段として扱われている」と感じるときの違和感や苛立ちの話だとも思うのですが、この素晴らしいフットボールの祭典を前にすればそんな話どうでもいいです。

 

1.グループA ブラジル、クロアチア、メキシコ、チリ

(1)クロアチア代表

 レアルマドリードのモドリッチという圧倒的才能。技術の高さもありハードワークするというメンタル的にも足首的にも超人。そして、バルセロナへの移籍が決まっている注目のラキティッチ(11年から直近の14年のシーズンまで所属したセビージャのエメリ監督に「彼はピッチ内外で模範となる選手だった。彼を指導できたことは私にとって誇りだ」とまで言わしめました)、バイエルンで圧倒的な決定力を示すマンジュキッチなどがいます。そんなクロアチアを私は応援していました。

 また、13年にサウサンプトンに移籍し吉田選手が出場機会を失うきっかけとなったCBのロブレン(ブラジル戦で西村主審に退場させられた選手です)や、マンジュキッチと入れ替わるようなタイミングでバイエルンを出たオリッチ選手なんかもいます。オリッチ選手は左SHにいて、4年間のおおくの場面で日本の形であった「左でつくって右でしとめる」というサッカーを左SBのブルサリコ選手と高い能力で遂行していました。

あるいはドルトムント時代香川選手とプレステしていたペリシッチなんかもいますね。SHというのかウイングというのか分からないですが、いい選手です。

 グループリーグ3試合目まで希望を残すも、メキシコとの直接対決で敗れてしまいました。クロアチア代表がグループリーグを敗退してしまうのは、本当にもったいなく感じました。ただ、同時に、クロアチア戦でのメキシコは本当に強かったです。

 あれ、さっそく84年生まれ不見当…。

94年生まれならいるんですけどね。コバチッチ。

 

(2)ブラジル代表

84年生まれ、いましたチアゴ・シウバ。セレソンのキャプテンです。

3シーズンすごしたミランを2012年に出て、PSGに所属なう。W杯についてのブラジル国内の財政問題について問われた際に、「僕は自分が完全に理解できていないことについては語れない」と述べるなど、その知性は言語能力としても簡単にみてとれます。セレソンのキャプテン、という重みに耐えうる人材であることは間違いないです。そもそも一流のサッカー選手の知性やばいです。

 とにかくちゅうもくなのは、チアゴ・シウバとダビド・シルバってなんかそう思われている以上に語感が似ている気がします。個人的にはファンブイテン(ベルギー代表)とフォンベルゲン(スイス代表CB)もまちがえやすいです。ロゴスの深淵です。

気づけばダビドルイスはダビルイスに変名しましたが、かつてヤンコラーがヤンコレルになったときの微妙な気持ちに比べればまだまだです。後述する84年組のスナイデルさんがスナイダーになることだけは阻止しましょう。あれ、スイス代表にいるのは、インレル、インラー?

ブラジル代表は、説明不要です。みんなすごいです。気になっていたのは、昨年の夏にボランチの二人がW杯まで一年の時期に思い切って所属チームを変えていたことです。グスタボがバイエルンからヴォルフスブルクに、パウリーニョがコリンチャンスからスパーズへ。前者は出場機会を求めてだったかもしれませんが、本大会を見る限り、両者の移籍は成功していたようです。

戦術的には、2列目のネイマール、オスカル、フッキは試合によっている場所が違ったりするのですが、基本的には、右利きのネイマールが左SHに、左利きのフッキが右SHに位置し、バイエルンのリベリーと今大会で悪魔的な動きをするロッベンの関係と同じですね。彼らはボールを持つと中央に向かっていくのですが、分かっていても止められないのです。

 

(3)メキシコ代表

ドス・サントスとか、チチャリートとかがいますね。

ペラルタという予選で11試合10得点決める選手がいると聞いて注目していたのですが、3試合で1ゴール1アシスト。やっぱりすごいです。サントス・ラグナという謎のチームに所属している彼の生年月日は、、、、、1984年1月12日だそうです。きたー!

 

(4)カメルーン代表

あれ、監督フィンケじゃん。浦和で監督やtってましたね。エトーやソングというバルサ系の選手や、マインツで岡崎とチームメートで昨年10点とっていたエリック・シュポ・モティングがいますね。モティングに注目していたのですが、0ゴール0アシストで大会を去ってしまいます。切ない。

 

2 グループB スペイン、オランダ、オーストラリア、チリ

(1)スペイン代表

はい、84年組います。イニエスタ。

 クラブW杯で日本を訪れた際の東京メトロの吊革に掴まる優しい笑顔はあまりにも有名です。シャビさん(フットボールとアンチフットボールを見分ける達人)とともにアラゴネス監督に若くして招集されて以来、その技術と頭脳から、代表に当然定着。頭脳で行うサッカーの軸を、代表でもバルセロナでもシャビさんとともに支えている選手です。

 役割がそういう役割だから、というのが主な理由ではあると思われますが、リーがでは過去3年間、それぞれ「2点、3点、3点」しか決めていない。それでもゴールを決めるイメージを保持しているのは、前回W杯決勝の延長での姿によるものと思われます。すなわち、オランダ代表のおかげである。

も。その節はどうも、をどのような形でオランダに示すかを期待されるも、チームを機能させることができずしかも、向こうは5バックだったとはいえども、そこそこ高いラインを保って底からパスを回してそこそこフットボールしていたという切なさも。も。

あれがフットボールだったかアンチフットボールだったかはシャビさんのみぞ知る。

という流れでオランダに大敗してしまい。敗退の決まっている3試合目のオーストラリア戦は本当に切なかったです。誰よりも戦う姿勢を示していたビジャ選手が途中交代させられ、ベンチで泣いているシーンは本当に切なかったです。勝負の世界の切なさを知ります。交代前にヒールでの見事なゴールを決めているんですけどね。近年のスペイン代表の活躍の中核を本当に担っていた選手です。代表、お疲れ様でした。

 

(2)オランダ代表

魅惑の男、ロッベン。84年組です。

 世界最強チーム、といまだ言われていると思われるバイエルンに所属しています。しかし、今年のCLでレアルマドリードにまさかの大敗。今大会1試合目の相手のスペイン代表には、レアルマドリードのシャビアロンソ、セルヒオラモス、カシージャスが所属しています(あれ、意外と少ない。ポルトガルなんかもCR7、コエントラン、ペペの3人ですね。ペペ…。)。

前回決勝の切なさからは4年もたっていますが、ともあれ復讐に燃えるロッベンさんは、ご存じのとおり、そのとんでもないスピードのドリブルでセルヒオラモスを抜き去り、また、カシージャスを文字通り這いつくばらせる、という鬼の所業をやってのけました。特に、セルヒオラモスは今回CBでしたが、代表でも06W杯、09コンフェデ杯、10W杯では右SBでそのスピードを活かしていました。レアルでも、クラシコで、重心を落としかかとを上げ、素早いメッシより先に動き捕える姿はあまりにも有名です。どうせ抜かれたのはピケの方だろう、と多くの人が思い込まされた中、まさかのぶっちぎったのはセルヒオラモスだったというロッベンさん。鬼です。

 そしてスナイデル。彼も84年組です。

 スナイデルさん。時折プレースキックでの足元の精度を見せつける以外は空気でした。ガラタサライにいらっしゃるので、ドログバとともにCLで内田篤人に襲い掛かった記憶を覚えています。その際は、ドログバさんがオーラ担当で、スナイデルさんは思わせぶり担当で、ユルマズという選手にフィニッシュされた記憶です。やはり技術があるので、寄せなければならない、という本能を喚起することから、存在だけで意味があります。例えば試合終了間際のパワープレーでGKが上がる場合に、GK自体の合わせには危険がなくとも、マークをずらすための強い意義がある。といった程度には存在自体に意義があるのかな、なんて。

ファンペルシーさんはあらゆる文脈を破壊して突如得点ボードに数字を加えます。

オランダ、よくわからないけどとりあえず強いです。カイトがまだ代表にいて謎の安心を覚えました。

 

(3)オーストラリア

 ケーヒル最高。2試合目のオランダ戦は、グループステージでの最高の試合の一つだったかもしれません。

 

(4)チリ

 ユヴェントスのビダルとか、バルサのアレクシス・サンチェスがいます。

 

3 グループC 日本 コートジボワール コロンビア ギリシャ

(1)日本代表

 長谷部誠。日本のキャプテンです。早生まれの84年生まれです。長谷部先輩。

怪我明けのせいか、あるいは「切り札としての遠藤」のためか、初戦コートジボワール戦では途中交代。大雨の中、日本がどうにもならない状態を見てベンチから大声を発していた姿があまりにも印象的でした。

 初戦に関しては、CB森重。今野のときは右CBを任される吉田、彼を左に追いやるCB森重。五輪代表でも内田の隣に位置した森重。初戦は彼がキープレイヤーだと思いながら見ていました。彼についてはあまり相手にも情報ないでしょうし。

ボランチが左サイドで球を散らすためには、左利きであるか超絶足元がうまいかどちらかの要素が必要だと言われていますが、遠藤を控えにしたために、左でつくるのは難しい日本代表でした。そこで、誰がつくるのか。森重です。右CBを任された森重にボールが集まっていたように思います。彼が配球するシーンが多く見られました。左の香川へ長いパスを通すなどの職人技もみせてくれましたが、長谷部や内田をうまくつくって崩すことはできなかったみたいです。

 その後の展開は筆舌に尽くしがたいものがあるので触れません。

 

(2)コートジボワール

 ローマの左利きジルビーニョが以外にもルマンで松井とアーセナルで宮市と一緒だったっていうのは今回初めて知りました。10W杯直前の日本戦でドログバが骨折したことを彼は覚えていました。直前のインタビューでそう言っていました。ドイツ代表のシュバイニーさんが加地を壊したことを日本人が忘れないのと同じですね。加地さんはアメリカのリーグに挑戦するらしいですね。応援しています。とはいえ選手としてシュバイニーも好きです。

 

4 グループD ウルグアイ コスタリカ イタリア イングランド

(1)ウルグアイ代表

 ウルグアイといえば、まず挙げられるのが、カバーニ。ナポリでスーパーな3シーズンをすごしたのち、13年よりPSGに所属しています。チアゴ・シウバとチームメイトですね。ダビド・シルバとはチームメイトではりません。

次に、前回大会得点王が来日、というふれこみでセレッソ大阪に来たフォルラン。そしてゴディンでしょう。ゴディンは今年のリーが最終節にバルサとの直接対決を制した際、また、その直後のレアルマドリードとのCL決勝、その2戦でゴールを決めてしまう本番に強い近頃もっともノリノリのCBです。

 そしてぺレイラさん。84年組発見しました。彼はベンフィカ所属です。初戦コスタリカ戦では後半49分に退場してしまいます。この試合、怪我が癒えているか癒えていないのか微妙なスアレスさんは、出場機会なく、涙を流していました。

 そして決勝トーナメント出場は、3試合目までもつれこみました。スアレスさん、あなた噛みましたよね。3度目ですよ。試合中に相手選手を噛むの、3度目ですよ。イタリアに出されたレッドはウルグアイには出ず、どころかカードが出ずふつうのファールとされた直後にウルグアイの決勝点です。すっきりしません。

 すっきりせず寝れずに日本戦を観て、私はほぼ寝れずに出社しました。私だけではないはずです。スアレスさん。あなた噛みましたよね。

 もっとも、今年のリーガ最終節で優勝が決まるバルサとの直接対決でゴールを決め、その後のCL決勝でもゴールを決めたゴディンとかいう男のゴールは素晴らしいものがありました。ゴディンと決めました。

 

(2)コスタリカ代表

 世界中のあらゆる前言を撤回させた勝者。

 

(3)イタリア代表

 大会直前にモントリーボが怪我で離脱しています。84年生まれだとばかり思っていたのですが、85年の早生まれでした。

 近頃ドルトムントに移籍が決まったインモービレ(24)は、ヒーローになれず大会を去ることになってしまいました。

 自らが主役になるのではなくスペースを創出するオトナな動きをEURO12同様に見せてくれたカッサーノもまた、初W杯でヒーローにはなれず大会を去ることになってしまいました。

 そんなイタリア代表の84年組は、ユベントス所属のキエッリーニです。彼は意外な経緯で今大会のイタリア代表の主役となってしまいました。スアレスさん、あなたキエッリーニのこと噛みましたよね。

 最後のW杯にピルロは主役になることはできませんでした。

 

(4)イングランド代表

 成し遂げることなくジェラードとランパードの最後のW杯が終わってしまいました。

 初戦ではジェラード含め11分の5がリバプールでした。

 若手のスターリングとスターリッジ。紛らわしいです。リバプールが母体であるのにジェラードが試合に入れていなかったことが印象的でした。

 リバプール所属の右SBグレンジョンソンと、エバートン所属の左SBのベインズは84年組です。注目していたのですが、特になにも起こらなかったです。

 若手のチェンバレンも覚醒しませんでした。

 プレミアリーグに優秀なGKが外からやってくるのでイングランドはGKが育たない。よってイングランド代表は常にGKにハンデを負って戦ってきた。という説を最近まで私は信じていたのですが、ハートがいるとかそういうことは関係なくダメでしたね。

 切ないです。
 
 
本日は以上で。