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2013年7月31日水曜日

7/7~7/31のサッカーのこと

★ブンデスリーガ

バイエルンに4年間在籍したドイツ代表マリオゴメスの、フィオレンティーナへの移籍が決まった。10-11にはリーグ得点王を獲得し、不動のレギュラーとして活躍してきたが、12-13シーズンには、移籍してきたマンジュキッチにスタメンを奪われた。しかし、途中出場においてもその優れた得点力を発揮し、バイエルンがCLを勝ちぬきつつリーグでも他を圧倒した力の一端を担った。また、昨季体制のラストマッチとなるドイツカップ決勝での物語として優れた活躍は以前も述べたところである。

基本的に「試合には入らずゴールだけを決める」という特徴ゆえに、監督がペップに交代した来季にはますます出番はないだろう。また、マンジュキッチだけでなくゲッツェもバイエルン入りしており、明らかにマリオが多すぎた。したがって移籍はやむを得ない。彼のイタリアでの活躍を期待したい。セリエの試合は、長友が出ているインテルの試合をたまに観るくらいだが、来季はもしかしたらさらに一人日本人も…。いずれにせよ、フィオレンティーナは昨季4位という高順位で終えている。マリオゴメスはセリエを盛り上げる人材となりうるだろう。

それとは逆に、チアゴ・アルカンタラがバルセロナからバイエルンに移籍してきた。監督の熱烈な希望であったことから、プレシーズンマッチの多くで起用されている。

プレシーズンマッチは多く行われたが、7/20.21に行われたテレコムカップ(4チームの大会である。30分ハーフという変則的な試合が行われる。)を取り上げよう。新体制で初のブンデス1部所属チーム同士の対戦となるので、プレシーズンマッチの中では比較的重要度が高めの試合となる。参加チームは、バイエルン、ハンブルガーSV、ボルシアMG、ドルトムントの4チーム。

バイエルンは、1戦目ハンブルガーSVを4-0で下した。そして、翌日ドルトムントを下したボルシアMGを5-1で制し、優勝している(意外にもバイエルンはこれがテレコムカップ初優勝だそうだ)。30分ハーフにおいてもこの得点力…。中日のない連戦であるにも関わらずこの得点力…。そして得点者に偏りがないところが恐ろしい。この大会においても、チアゴは中盤の底で効果的な動きを見せ、ボルシアMG戦では移籍後初ゴールを記録している。もっとも、アンカーでの起用は守備面で不評であるようだ。ただし、ミュラーがCF起用され、ラ―ムが中盤起用されるなどしており、フォーメーションは定まっていないようである。実際、ペップはボルシア戦の後半、チアゴのパスミスを見かね、クロースとその位置を入れ替えている。ちなみに、クロースの怪我でスタメンに舞い戻り、そのまま好調を維持しているロッベンは、ペップの就任が決まった際に退団濃厚と噂されていたが、新体制でも場所を得られそうだ。

そんなバイエルンであるが、7/27に行われたドイツ・スーパーカップでは、ドルトムントに敗れている(以前も述べた)。ここでもチアゴのアンカー起用は不評だった(あれ、やはりしつこくアンカー起用されているな…)。このドルトムントの勝利は、リーグ全体において良い結果であろう。ブンデスリーガをつまらないリーグにさせないためにも、対抗馬であるドルトムント(移籍についていえば、若手ドイツ代表のライトナーについて、契約を4年延長しつつシュトゥットガルトに2年間の期限付き移籍をさせた)とシャルケの活躍に期待したい。

★プレミアリーグ

また新たなベルギー代表がプレミア入りした。トゥエンテからシャドリがスパーズに移籍。スパーズについては以前も述べた。プレミアの移籍が大きく動くのは8月になるだろうか。

そして、マンチェスターユナイテッド・アーセナルが来日した。

ユナイテッドはマリノスとセレッソと対戦した(テレビ東京でサッカーを観たのは初めてかもしれない)。

スタジアムにおけるチャントについて「マンU」という略称を使用すべきでない(侮蔑的な意味が含まれている)という注意が周知されていたようだ。これは香川が加入したときにも周知の動きがあったが、それでもこの略称はなかなかなくならない。その理由はおそらく代替案がないことにあろう。大手メディアや選手が略称を名付けて固定されることを願いたい。例えば「マンユナ」というのもあり得るだろう。しかし強い違和感があることはできない。「マンU」に慣れており、また、マンチェスターシティは問題なくマンCであることも影響しているだろう。なんにせよ、早々に変更し、慣れるほかないだろう。

試合については、セレッソの南野くんが世界に見つかったことくらいが特筆すべき点だろう。素晴らしい動きをみせ、優れたゴールを決めた。試合中にTwitterでMinaminoと検索したら、賛辞の声が多くみられた。「Minamino - reckon that'll be a name to remember...」というのが印象的だった。

アーセナルはグランパスとレッズと対戦している。

試合は都内で中継されておらず、ハイライトしか見れていない。試合外では、アーセナルの錚々たる面々が日本を楽しんでいる様が動画や画像を通じて伝えられてきた。相撲を観戦したり、ノリノリで侍の格好をしたり(ポドルスキとメルテザッカー)、寿司職人となったり(アルテタとサニャ)と、興味深かった。日本を楽しんでもらえたことが単純に嬉しい。また、グランパス戦は、ベンゲルが名古屋に帰還してグランパスと対戦するというのも物語として優れていた(ベンゲルは95-96、96-97のシーズン途中までグランパスで監督をしていた。そのとき、選手として現グランパス監督のピクシーはベンゲルに指導されていた)。

とはいえ、アーセナルのアジアツアーで最も話題をさらったのは一人のベトナム人だった。彼は選手の乗ったバスに8キロも並走し、最後にはバスに招き入れられサインや写真撮影をするという栄誉を勝ち取っている。

「The Running Man - Arsenal Tour 2013」



素晴らしい映像。「Sign Him Up!」の合唱。

2013年7月9日火曜日

トットナム入門のこと

先日行われたイベントで、プレミアですごいと感じる選手は誰かという質問に対し、香川真司はトットナム(「スパーズ」と呼ばれることの方が多い。以下「スパーズ」とする。)のボランチのデンベレと答えたという。特にこの話の裏はとっていないが、仮にこの発言の事実があったとすれば、なかなか興味深い。デンベレは昨季フルハムからスパーズへ移籍してきたベルギー代表の25歳の選手である。ポジションは、中盤の底の左側。左利きの選手である。日本代表でいう遠藤と同じポジションということになる(ピッチの左サイドにおいて、右利きの選手が効果的なパスを通すのは難しいといわれているが、遠藤はその卓越した技術で役割を果たしている。)。

11-12シーズンまでデンベレのポジションには、現在レアルマドリードに所属するモドリッチが配されていた。入れ替わるように加入したデンベレは、あのファンタスティックなモドリッチに見劣りすることなくその実力を発揮しスタメンに定着している。

香川真司とデンベレとの一度目の対戦は昨年9月、プレミアリーグ第6節であった。香川はこの試合でゴールを決めているが、試合としては2ー3で敗北している。スパーズとしてはアウェイ、オールドトラフォードにおける実に23年ぶりの勝利だったようだ。

そして直近では1月に対戦している。スパーズはこの試合で、4連勝中のユナイテッドに対し引き分けにもちこんでいる。しかも、シュート数でいえば、トットナムが25に対し、マンチェスターユナイテッドはわずか5にとどまっている。また、パス数をみてみると、デンベレが両チーム最多の55本中50本を成功させている。デンベレが圧倒的な存在感を示していたことが数字からも分かる。後半17分にルーニーと交代した香川はおよそその半分27本(25本成功)にとどまる(ちなみに香川がハットトリックを達成したノリッチ戦では、一方的な試合展開でもあったこともあるが香川は74本ものパスを行い67本成功させている)。もっとも、おそらくデンベレの最大の魅力は、むしろ数字には現れないところにあるといえる。それは、視野の広さと状況判断の良さだろう。的確に「嫌な場所」にパスを供給し続けるデンベレを、あるいは的確なポジショニングでボール奪取するデンベレを、香川は目の当たりにしたのではないだろうか。


★★★

以下、さほど詳しくない筆者によるスパーズ入門を若干記述したい。

スパーズというチームはここ4季、4位、5位、4位、5位と安定した成績を残している。スパーズといえば、ベイルの覚醒が昨季は取り上げられていた。ベイルはもともと左SBの選手であり、SBの実力者(守備面では不安視されつつ)として把握されてきた。例えば元イタリア代表SBのマルディーニは、今年のはじめに発表されたインタビューにおいて、注目している現代的なSBの選手としてベイルの名を挙げていた。マドリーへの移籍が噂された際にも、SBとして起用されるとも言われていた。そんなSBとしても優秀なベイルは、一列前のSHに配置され、その卓越した得点力を発揮していくこととなり、その後、昨季の活躍に至る。

若干の脱線。

コンバートは、ときに選手に劇的な変化をもたらし得る。例えば、都並監督のもとでボランチ起用され、それほど特別な選手ではなかった香川真司は、クルピ監督のもとでトップ下としてその才能を開花させたことは有名だ。また、ピルロはトップ下からボランチへ一列下げることによってその才能がさらに発揮された。すでに特別な選手であったピルロがさらに変身を残していたとは、人々を驚かせた。筆者は日本代表でいうなら、内田篤人のボランチ起用に興味を持っている。本人も関心がある旨の発言をしているところであるが、シャルケにおいては、いくつかの試合でチーム内でのボールタッチ数第1位を記録している、内田にボールがわたり彼が顔を上げることが攻撃のスイッチとなることも珍しくない。まさに代表でいう遠藤のように、彼が顔を上げると他の選手が走り出すのである。このような役割を担える彼がボランチで起用される試合を、いつか見てみたいものである。

話を戻そう。ベイルの他の注目選手を記したい。やはりチームを知っていくには、まず有名選手から入るのがよいだろう。それは例えば、サッカー自体への興味をもたらす際、Jリーグへの興味をもたらす際でも同様であろう。

先に述べたデンベレは、ボール奪取能力も素晴らしいが、ボールキープやドリブルも得意としていることから、一列前に置くことも有効であろう。以前のチームではそのように使われることもあったが、スパーズでは中盤の底に配置されている。怪我により長期離脱したサンドロが復帰し、また、先のコンフェデで印象的な活躍をみせたパウリーニョの加入が発表されていることから、デンベレのそのような一列前での起用が、来季見られるかもしれない。11-12では、モドリッチとパーカーがボランチのコンビであったが、12-13ではデンベレとサンドロが基本線である(今年のはじめにサンドロが離脱してからは、パーカーが入ることが多かった)。来シーズンはどのようなサッカーになるだろうか、期待したい。

CFにはデフォー(ゴール前でのキレが持ち味の身長低めのイングランド代表)とアデバヨール(フィジカルに優れた身長高めのトーゴ代表)がいる。デフォーが怪我で離脱しているときでさえ、アデバヨールが起用されずデンプシーが1トップを務めるなど、昨季はアデバヨールの勢いある姿は正直なところあまりみられていない。

また、右SHはレノンである。あのイングランド代表の足の速いレノンである。清武との交代以降、代表で松井が見られなくなったイメージをなんとなく持っているが、ベッカムとレノンもそのような関係にあったと記憶している。また、イングランド代表の選手でいえば、ウォーカーが右SBを務めている(現状では、代表においてはリバプールのグレン・ジョンソンの控えであるが、23歳と若く、そのスピードや豪快なドリブルは非常に興奮させるものがある)。などといったように、有名どころや若手のホープがいい感じに融合したチームだといえよう。

プレミアの他チームサポの方々からあまり嫌われることのない印象のある渋いチームとして、なんとも魅力的なスパーズである。